高専は独自のカリキュラムと環境で、優れた技術者を育成する専門性の高い教育機関として、多くの学生に選ばれています。
せっかく入試を突破して入学した高等専門学校であるにもかかわらず、
- 思っていた学校生活と違った
- 興味や方向性が変わった
- 学習や環境が自分には合わなかった
と感じ、残念ながら中退を考える学生も少なくありません。

あまり考えたくないことだけど、もし子どもが高専を辞めたいと言い出したら、どうなるの?そのことが不安で、子どもの高専進学を賛成しきれないのよね。
確かに、高専は普通高校よりも学習内容や環境が特殊で、中退者が一定数いるのは事実です。
ただし 、文部科学省の調査(令和5年度)では高専の中退率は約2.1% と報告されており、これは普通高校の中退率(約2.2%)と同水準。大学や短期大学と比べても決して高いものではありません。
つまり、「高専だから特別に中退率が高い」というわけではなく、理由や背景が普通高校とは少し異なっているに過ぎません。
とはいえ、親として万が一子どもが退学することになっても、中退後の選択肢を頭の片隅においておくだけで心理的に安心できます。
本記事では、高専を中退した場合の具体的な進路と、それぞれの選択肢について解説します。
中退は決して終わりではなく、新しい道への出発点です。友人や周囲の人々の支えを活かして、新たな目標に向かって進んでいきましょう。


高専中退後の基本ポイント
高専中退後の進路を考える上で、最も重要なのは「高卒資格」を取得することです。高専を中退したままでは最終学歴が中卒になってしまい、その後の人生に大きな影響を及ぼしてしまいます。
高専での在学年数によって、取るべき道が異なります。
- 高専3年生を修了していない場合
-
高卒認定試験を受ける、または全日制・通信制高校に転入し、高卒資格を取得することが最優先。
- 高専3年生を修了している場合
-
大学や専門学校への進学が可能で、就職への選択肢が広がります。ただし最終学歴は「中卒」のまま扱われるケースがある点には注意が必要です。
高専3年生から4年生への進級が確定しているならば、高校課程修了とみなされます。ただし、高校課程修了とみなされても、最終学歴は中卒です。
4年生への進級が確定していない場合、別途高卒認定資格を取らなければなりません。
次に、それぞれのケースに分けて進路を解説します。
高専3年生を修了していない場合


高専4年生に進級できていない状態で退学すると、高校課程を修了したとはみなされません。
そのため、まずは高卒認定資格を取得することが最優先になります。
高卒資格を取る方法として、以下の3つが一般的です。
- 全日制普通高校に転入・再受験する
- 通信制高校に転入する
- 高卒認定試験を受ける
それぞれについて、ざっくり紹介します。
全日制普通高校への転入・再受験
一般的な高校生活を送りたい場合、全日制高校への転入・再受験がおすすめ。
1年次で退学してしまった場合は高校受験、2年次や3年次で退学してしまった場合は高校の編入試験を受けて合格すれば入学・転入できます。
- 受け入れ先の高校の定員に余裕がない場合、編入者募集が行われないことがあります。



先輩が3年に進級できずに退学して、地元の私立高校の2年に編入したんだ。私の中学時代の友人と同じクラスらしく、普通にクラスに馴染んで楽しい学校生活を送れているらしいことを友人から聞いて、安心したよ。
通信制高校に転入
通信制高校は、自分のペースで学習を進められます。
高専で取得した単位を認めてもらえる場合もあり、必要な単位だけを取得して高卒資格を目指せるため、効率よく単位を揃えることで予定通り卒業できる可能性があります。
数単位だけ落としてしまった場合におすすめできる選択肢です。
通信制高校への転入を考えている方は、複数校を比較し、自分にあった学校を見つけましょう。
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高卒認定受試験(高認)
高校に通わずに高卒資格を得たい場合は、「高卒認定試験」を受けて合格するという方法があります。
ただし、高卒認定はあくまでも「資格」であり、学歴は「中卒」のままです。
高認合格後は、必ず専門学校なり大学なり進学して、学歴を専門卒または大卒に必ず上書きしてください。
高専を休学して高卒認定に向けて勉強をし、認定試験合格後は大学入学に向けた受験勉強をし、大学からの合格通知を受け取ってから高専を退学すれば、履歴に穴はなくなります。
高卒認定試験の独学での学習は困難であるため、予備校や塾に通うことは必須。



友人は塾に通って高認取って、大学受験して進学したよ。かなり大変だったみたいだけどね。
高校で学ぶことを独学で勉強するのはかなりキツイです。予備校に通うのは経済的に厳しいのであれば、通信講座を利用するのも一つの方法です。
高専3年生を修了している場合:進学の選択肢


高専3年生を修了(=4年生進級が確定)していれば、高校課程を修了したとみなされ、以下のような選択肢が広がります。
大学に進学する
高専での学びを活かして大学に進学する道があります。ただし、高専の学習内容は大学受験に特化していないため、予備校や通信講座での補習が必要になる場合が多いです。
浪人前提で予備校に通って勉強する人が多いと聞きます。
専門学校に進学する
専門学校に進学することも可能ですが、専門学校によっては専門卒の学歴が得られず「中卒」のままになる事があるため、入学前にしっかり確認する必要があります。
手に職系の専門学校がおすすめですが、業界によっては「中退」経験者はかなり冷遇されることがあるので、業界選びも慎重に行いましょう。
高専中退後の就職


高卒資格を持たない高専中退者は中卒になるので、就職はかなり厳しいですし、就ける職種は限られます。
3年生を修了してから退学した人の場合、高卒と捉えるか中卒と捉えるか、企業により対応はまちまち。
実力主義のIT系なら……、と思っても、実績がない場合は基本的に大卒者以上でないと採用されないので、望みは薄いと考えましょう。
就活エージェントの利用
効率よく就職活動をしたいのなら、就活エージェントを利用するのも一つの方法。
高専中退でも、きっと雇ってくれる企業は見つかります。
以下に紹介する就活エージェントは、学校中退者にも対応しているため、活用しやすいのではないでしょうか。
- キャリアアドバイザーが面談を通し、約1万社の中から企業を紹介
- 一緒に履歴書の添削や職務経歴書の書き方をサポート
- 担当者が入社後もサポート
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公務員試験を受ける
ただし、高専中退でも受験可能かどうか、必ず問い合わせてください。自治体によって対応が異なることがあります。
公務員試験を受けたとしても、中退の経緯や志望動機を面接で問われるため、しっかり準備することが重要です。



高専中退後、公務員になったという話をたまに聞ききます。実際に知人の息子さんが高専中退後、公務員試験を受けて消防士になっています。
個人事業主・起業という道
どこかの企業で働くというよりも、実績を積み上げて個人事業主や起業家となれば、中卒だろうが高卒だろうが大卒だろうが、学歴は関係なくなります。
高専中退で最終学歴「中卒」のままで仕事をするのは茨の道かもしれませんが、実力次第で道はきっと開けます。
最後に:高専中退は新たな出発点
高専中退は、確かに大きな転機ですが、決して人生の終わりではありません。この先まだまだ何十年と続きます。
- 高卒資格をどう確保するか
- 進学や就職の選択肢をどう広げるか
親としては、上記の2点について押さえ、情報を集めて子どもが進む道をしっかりサポートするしかありません。
子どもと一緒に情報を集めて整理していけば、きっと新たな未来を切り開くことができます。
中退率のデータから見ても、全国の高専で中退する学生は 全体の2%程度 にとどまります。
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