高専の推薦入試では面接が行われます。
各学校の募集要項を見てみると、面接の配点が大きいことが分かります。
ほとんどの中学生にとって、面接なんて初めての経験ではないでしょうか。

初めての面接試験。緊張しちゃうし、どんなことを聞かれるのかわからないし、できれば何を聞かれてもいいように準備しておきたいよね。
推薦入試に向かう受験生のみなさんは、高専の入試では一体どんなことが聞かれるのか分からなくて、困っているのではないでしょうか。
高校入試の面接情報は学校や塾に情報が蓄積されているものの、高専の場合は毎年高専に生徒を送り出している中学校でもない限り、ほとんどありません。
本記事では、我が家が実際に行った面接対策を紹介します。



親も面接対策に巻き込まれました。
面接で聞かれることは、主に以下の3つ。
- 学校が持っている受験生の情報から(エントリーシートおよび中学校からの内申書)
- 志望動機
- 科学技術に対する興味関心
これらのことに答えられるようにしておくことが肝要です。


面接官が持っている受験生の情報(内申書とエントリーシート)


高専によって異なっているかもしれませんが、沼津高専の場合、推薦入試の願書提出の際にエントリーシートというものを書いて提出します。
面接官が持っている受験生の情報は、中学校から送られてきた内申書と、本人が記述したエントリーシートのみです。
基本的に、ほぼこれに沿って面接は行われます。
エントリーシートには何を書けばいいの?
エントリーシートは、中学時代に成長を感じたことや、どんな技術者になりたいかといったものを書いて提出する必要がありました。
文章が苦手でも、とりあえず自分の言葉で書きます。
そしてその文章を元に、中学の国語の先生が(内容はそのまま原型を留めないほどに)真っ赤に添削してくれたので、それを願書に清書しました。
中学の3年間で頑張ったことなどを、棚卸しをしておきましょう。面接で自信をもって答えられることは何かを考え、それを素直に書きましょう。
エントリーシートに書くことは、面接で聞かれても困らない内容にします。
下手に背伸びをしたことを書いてしまうと、面接でつっこまれてしどろもどろになってしまい、面接官に悪い印象を与えてしまいます。
部活動や生徒会活動ネタ
部活動や生徒会活動は鉄板ネタ。
実績があるのなら、それを素直に書きましょう。
そして、その活動を通して自分が成長を感じたこと(←これ重要)を書きます。
リーダーシップがとれる学生を高専は欲しがっていますので、リーダー経験があるのなら強調しちゃいましょう。
部活動の実績は内申書に書かれているので、わざわざ書く必要はありません。
卓球部の部長をしていた娘は、大会成績よりもリーダーとしての経験のほうが重要視されると考え、部をまとめる上で気づいた大事なこと、大切にしていたことを書いていました。
ネタがない時
リーダー経験や何らかの賞をとったことのある子はネタに困らないのでしょうが、そのような経験がない場合は書くネタに困ってしまうのではないでしょうか。
そんな時は、
リーダーが仕事をしやすいように、フォロワーとして何をしたか
を書いてみるのも良いのではないでしょうか?
良いチームというものには良いリーダーだけではなく、リーダーを支える良きフォロワーがいます。良きフォロワーとしてアピールするというのも、一つの方法です。
他にも、
賞をとるまでには至らなかったけど、夢中になった何か
について書くのもアリです。
何かに夢中になり、その何かを成し遂げるために努力したことや学んだことというものは、自分の成長の糧になっているはずです。
必ずしも結果を伴っている必要はありません。
内申書
中学校から提出される内申書は、受験生側でコントロールできません。
しかし何か役職をやったり、賞をとったりした情報は記入されているので、予想はできるでしょう。
上述のエントリーシートと合わせて、それによって自分が何を感じ、どう成長したかを説明できるようにしておくと良いでしょう。
実際に面接対策として行ったこと


高校入試の面接対策と大きな差はありません。高校入試の面接対策本を1冊は読んでおくと良いでしょう。





高専だったら、この場合はこんな質問になるのかなぁ……?
なんていろいろ考えながら、想定問答集を作成して、面接練習をしておきます。
面接で聞かれることは、倍率と、面接官になった先生に大きく左右されます。倍率が高いと考えさせる内容を聞かれたり、ひねくれた質問をしてくる先生もいます。
高専のアドミッション・ポリシー
受験する高専のアドミッション・ポリシーは覚えておきます。



進学説明会では、覚えてくるように何度も強く言われました。
志望動機はどうこたえれば良いのか
志望動機は、普通高校の受験でも聞かれる質問です。高専は普通高校以上に志望動機が重要になってきます。工学に興味がないのに高専に入学なんてしたら、後できっと後悔します。
- 父がエンジニアで、そんな父に憧れて……
- ロボットアニメを見て、いつかはそんなロボットを自分で造ってみたいと思って……
- TVでロボコンを見て、自分も出たいと思った
- TVで○○という技術を知り、そんな最先端で活躍する技術者を夢見て……
- などなど
中学生が考える志望動機なら、この程度でいいでしょう。



志望動機って、なんとなくじゃだめだよね。



うちはお父さんが機械エンジニアだから、お父さんを出してみたら?お父さんの影響で機械に興味を持つようになったっていうの、全然ありだと思うよ。嘘じゃないし。
高専を志望するきっかけとなった志望動機をしっかり深堀りし、答えられるようにしておきます。
「なんとなく」高専に決めたと思いこんでいても、その「なんとなく」にもきっと理由があるはず。「なんとなく」の正体はなにかをまずは考えてみます。
技術と技術者に関すること
高専特有といえば、技術に関することを聞かれる可能性があります。
- どんな技術者になりたいですか
- どんな技術に興味がありますか
中学3年生の段階で考えることは酷かもしれません。
具体的なものではなくても構わないと思います。高専で勉強することによって、実現できるかもしれない夢を語れれば良いのではないでしょうか。
これに対して我が家が行った対策は、
直近数ヶ月で構わないので、新聞(日本経済新聞・日刊工業新聞)の技術面で気になる記事をスクラップしておき、数週間前に軽く深堀りしておく。



今興味を持っている技術ニュースはありますか?そのニュースをどこで知りましたか?
実際に、娘の時は気になる技術ニュースについて聞かれました。同じ学科の先輩も聞かれたそうです。



新聞をチェックしていてよかった……。
多少は深堀りしますが、中学生の頭で考えて答えられる範囲に留めておきます。
答えられなかったら、「○○ついてはまだよく理解できないので、高専に入って勉強します」と胸を張って答えられたら、中学生としては十分でしょう。
技術に関して、わからないことを無理に答える必要はありません。かえって突っ込まれて答えられなくなってしまいます。
中学校での面接練習
入試前に中学校で面接練習をしてくれます(ただし、中学校によっては普通高校とは日程の違う高専受験生向けの面接対策を行ってくれない可能性もあります)。
中学の面接練習は(質問内容としては)、全然役に立たなかったらしいです。
中学の先生が聞いてきた質問は、高専の面接で聞かれることはなかったとのこと。



同じ科の推薦で入った先輩も、中学校での面接練習は役に立たなかったって言ってたよ。
とはいえ、場の練習にはなったのではないかと、親としては思っています。
想定問答集の作成
娘が実際に行っていた面接対策です。
中学校から推薦してもらえると分かった中学3年の冬休み、ただひたすら想定問答集を作成していました。



志望動機を中心にどんなことを聞かれそうなのか樹形図を書いて、想定問答集を作ると良いよ。これが一番の対策になったから。
樹形図というか、マインドマップのようなものかな(いつの間にそんなことを覚えたのかと、母は驚いています)。
ルーズリーフを使用していましたが、ノート1冊分以上の厚みになっていました。
エントリーシートに書いた自己PR から聞かれそうなことはもちろん:
- 志望動機
- 中学校で頑張ったことはなにか
- どんな技術者になりたいか
- どんな技術に興味があるか
- なぜ高専なのか
- なぜこの学科なのか
- 高専に入って何をしたいのか
- 高専を卒業した後は何をしたいのか
- 学んだ技術で何を作りたいのか
- 学んだ技術で社会にどう貢献したいか
テーマごとに思いついた質問とそれに対する答えを紙に書いていきます。そして自分の返答に対してさらに質問されそうなことと、答えもどんどん書いていきます。とにかく思いつく限り書いていきます。
実際に面接で聞かれるかどうかに関係なく、自分の考えを整理するのにも、この方法は役に立ちます。
自分の考えや価値観の軸となるものがはっきりすれば、想定外の質問に対しても自分の軸に照らしあわせて答えられます。
学んだ技術でどのようなものを作りたいのかに関しては、ひねり出すのに苦労しました。
中学生の頭では、世の中にどのような機械があるのかなんて知りません。
私が思いつく限りの機械を口に出していき、ピンときたものに関して「なぜ?」を追求して、なんとか作成しました。



車、電車、飛行機、ミシン、食品加工機械、えっと…、工作機械、農作業用の機械、建機に……。なんかピンとくるものあった?
想定問答集の作成は面倒くさいかもしれません。実際にどんなを聞かれたのか、推薦合格した現役高専生から聞き出し、それに対する答えを考えるほうが楽かもしれません。
しかしそれでは自分の軸がはっきりせず、想定外の質問をされたら答えられなくなってしまいます。
一見すると、面倒くさくて回り道に見える方法が、実は一番の近道です。
実際の面接(娘の場合)


上述したとおり、部活動の成績(団体戦県大会ベスト4で東海大会出場)が良かった上に部長をしていたこともあり、部長経験を強調したエントリーシートを作成していました。
そのせいか、3分の1ぐらい部活動の話をしていたそうです。
競技のことだけではなく、部をまとめる上で苦労したこととか、成長を感じたこととか。もちろん、高専でもその競技を続けるのかどうかも聞かれたそうです。



工場見学に行ったことはありますか?
という質問に対しては、うなぎパイ工場に行ったときのことを思い出して答えたとか。
「中学の社会科見学で行った自動車工場の方が良かったかも……」なんて言っていましたが、エントリーシートに「食品加工機械に興味ある」ようなことを書いていたのだから、うなパイ工場のほうで合っていたんじゃないかな。
学んだ技術で、社会にどう貢献したいか、どのようなものを作りたいのかといったことも聞かれたようです。



質問内容は、ほぼ想定の範囲内だったし、それしか聞かれなかったよ。
質問はどれも、想定問答集で考え尽くした範囲内に収まっていたようです。
面接対策のまとめ
- 高校入試の面接対策本を1冊は読む
- 内申書やエントリーシートの内容をもとに、聞かれそうなことを考える
- 中学時代に自分が成長を感じたこと
- 志望動機を深堀りしておく
- 新聞等で技術に関するニュースをチェック
- 興味のある技術は何かを考える
- 想定問答集を作成し、練習する



想定問答集の作成は、マジでおすすめ!


最後に
面接内容は、倍率によって聞かれる内容が変わることもあります。
倍率が低ければ、志望動機や中学で頑張ったことなど、基本的なことしか聞かれません。倍率が高いと、落とすためにやや突っ込んだ技術の話をされる……、なんて聞いたことがあります。



核戦争が起きたら、核兵器のスイッチを押せますか?
答えに窮する質問が来ても、パニックにならずに落ち着いて、自分の言葉で自分の想いを伝え、わからないことは素直に「わからないのでこれから勉強します」と答えましょう。



親ができることは、面接の練習相手になることと、本番で子供が緊張しすぎないように寄り添い、送り出すことぐらい。
我が家はホテルに前泊しました。緊張しすぎて夜眠れない娘に付き合っての面接練習……。試験翌日の仕事は眠くて眠くて仕事になりませんでした。


コメント
コメント一覧 (2件)
エントリーシートについての質問です。
段落(改行)って作りましたか?
普通の原稿用紙に書くのと同じように,段落は作っていました。