
高専に入学した後も、中学時代と同じように部活動も頑張りたいんだけど、高専の部活動ってどうなの?
そう考える中学生や保護者の方は多いのではないでしょうか。
高専でも普通高校と同じように部活動に取り組むことはできますが、普通高校と比べるとその環境はかなり異なり、「思っていたのと違う」と感じる学生も少なくありません。
それでも工夫次第で十分楽しめますし、実際に高体連の大会で県大会ベスト8に入る強豪高専も存在します。
本記事では、保護者目線で高専ならではの部活動事情をお伝えします。
ちなみに、高専生はインターハイよりも全国高専大会出場を目指します。




高専の運動部の特徴


高専の運動部は、普通高校と比べて「ガチでやる」には厳しい面があるかもしれません。
それには以下のような理由があります。
- 自由参加と兼部のしやすさ
- 短い練習時間
- 長期休暇に活動できない寮生
- 女子が少ないことによる影響
- 自分で決める引退時期
地域や学校、部によりかなり温度差がありますが、全体的にそういう傾向があります。
自由参加と兼部のしやすさ
普通高校の場合、中には部活動参加を義務付けている学校もあります。
しかし高専の場合は、部活動や同好会に必ずしも参加しなければならないということはなく、自由です。
年度途中での入部・退部も可能で、緩やかに活動している部も多いため「兼部」できる場合もあります。
- 部活動同士の兼部はできませんが、部活動とサークル、サークル同士の兼部はできることがあります。



天文部と卓球部を兼部していた先輩もいたよ。私は兼部しようと思った同好会がNGで断念したけどね。でも部活に専念できて良かった。
部活動に顧問の先生はもちろんいます。
コーチがいる部活もありますが、練習メニューは基本的に学生主体で決めており、自由に練習をしているところがほとんどのようです。
自主性が求められる一方、幽霊部員が増えやすいのも高専ならではかもしれません。



自分が部活をやりたい日だけ行ってる



部活に行ったら誰もいなくて、練習相手になりそうな部員をLineで呼び出したよ。
練習時間の短さ
普通高校の部活は、放課後に2~3時間(夏は19時、冬は17時)、土日も半日~1日練習というケースが多いです。
私立強豪校はこれよりももっと多い練習時間になっているでしょう。



遅くなると好きなメニューを選択できなくなるし、食いっぱぐれたら最悪。
さらに、実験や実習が長引くと、部活動そのものに参加できない日も出てきます。
長期休暇に活動できない寮生の悩み
GWや夏休み、冬休み、春休みは「閉寮」してしまうため、通学困難な遠方地域の学生は練習に参加できません。
夏期休暇は高専の合宿所を利用して、合宿を行うこともありますが、長期休暇の僅かな期間だけであり、ずっとできるわけではありません。
中には友人宅に泊まったり、ウィークリーマンションを借りる学生もいるため、全く手段がないわけではありません。
その間に全国大会に繋がる地区予選大会があると、練習不足で実力を発揮できずに負けてしまうこともあります。



第二シードだったのに、全然練習していなかったから変な負け方した。練習していれば普通に勝てる相手だったのに…。めっちゃ悔しい!(泣)
地元のクラブや他校の練習に参加する学生もいますが、なかなか難しいですね。



1年生の時は、コネとツテをフル稼働して、社会人クラブチームや高校の練習に参加させてもらいました。
2年生の時は、本人の希望でバイト優先にしたため、ほとんど練習せずに試合に臨んだため、負けてしまいました。
女子が少ないことによる影響
高専は女子の割合が2割前後。
とはいえ、どこの部活・サークルにも女子はいます。
団体戦では人数不足に悩まされることも多く、
高専大会に優勝したのに、翌年人数が揃わなくて棄権した。
という事例をよく耳にします。
個人スポーツなら問題ないかというと、意外とそうでもなく、



普段男子としか練習してないから、大会で女子相手に球が合わなくてびっくりした!
そして他の高校に練習に出かけると、男子には勝てるのに女子に負けるという不思議な現象が発生することも(落ち込む相手校男子と喜ぶ女子)。
自分で決める引退時期
普通高校では「高3の夏」の大会が終わったら、部活動を引退しますが、高専では明確な引退時期がありません。
高専大会には5年生まで出場できるので、本人の意志と忙しさ次第。
基本的に4年生の高専大会が終わったら一応引退らしいですが、部の役職に就かないだけの役職引退で、これまで通り部活動に参加しますし、大会にも出場しています。
ただし上級生になると、実験・実習や大学編入の勉強で部活に顔を出せない日が増え、自然と「幽霊部員化」する人が多いのが実情です。



4年生になったら、部活動に参加したくても、寮の仕事が入っていたりして、なかなか参加できない日が増えたよ。
上級生になるに従い、部活動に籍は置いてあるけど実質幽霊部員化しています。
上級生は、勉強と実験の息抜きに、時々部活動に顔を出しているといったかんじでしょうか。



1年のとき、大会に向かうバスに見知らぬ5年生がいて驚いた。ずっと幽霊で、誰も知らなかったらしい(笑)
運動部以外の選択肢


高専では部活動以外にも、さまざまな活動に参加できます。
- 文化部:学校公認
-
高専の花形部活動といえば、なんといっても「ロボコン部(ただし高専により名称は異なる)」
他にもいろいろな文化部があります。
例- 吹奏楽部
- 天文部
- 知財のTKY部
- 同好会やサークル:自由度高い
-
部活動よりもゆるく、趣味の仲間と活動を楽しめます。
例- プロコン同好会
- 数理同好会
- 軽音楽同好会
- 大道芸同好会
部活動と学業・進路との関わり
部に所属し、部活動がある日は真面目に参加している学生ほど、学業成績も良い傾向があります。部活動に真剣に取り組める学生ほど、勉強も真剣に取り組んでいるのは、高専生に限った話ではありません。



部活動に積極的に参加しているやつは成績上位者が多いし、部活動に限らず学校や寮の役員活動を積極的に行っているのって、十賢(上位1桁)のやつが多いんだよね。
おそらく、限られた時間の中で部活も勉強もこなす必要があるので、自然と時間管理能力や集中力が身につくからです。
面接や推薦入試で「部活動を頑張った経験」は良いアピールポイントになるため、たとえ成績が振るわなくても「継続力・協調性」があるとみなされ、評価されます。
保護者の関わり


部活動の運営は学生主体で行われており、寮生活の場合は学校が生活全般を管理してくれます。
特に高専大会は学校単位で動くため、保護者の出番はありません。
保護者は子どもから大会予定を聞き出し、自ら積極的に応援に行くなどして関わらない限り、結びつきは殆どありません。



応援に来る保護者はほとんどいないよ。
大会の応援に行っても、他の保護者と顔を合わせることは殆どありません。
大会への送迎
長期休暇で閉寮中に行われる高体連の大会に出場する場合は、保護者の送迎が必要になることがあります。
また、スポーツ協会主催の大会で予選を通過したのが1人だけで会場が遠方だった場合も、送迎しました。
その時は1日の中で、「浜松→津(試合会場)→沼津(帰寮)→浜松(帰宅)」と車を走らせた時は、流石にへとへとでした。



近場でもない限り、予選突破する見込みのない学生は、そもそも出場しないことも多いよ。
まとめ:部活動は「量」より「質」で考える
高専の部活動は「自由度が高く、楽しみやすい」一方で、
- 短い練習時間
- 女子の人数不足
- 遠方の学生にとっては長期休暇の活動制限
といった制約があります。
部活動に真面目に取り組んでいる学生ほど、以下のような取り組みをして、力をつけています。
- 質の高い練習をする工夫
- 限られた時間を有効活用
また、高専ならではのユニークな部活動や、学業と両立しながら活動を続けることで得られる経験は、将来の大きな財産になります。



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