高専専攻科から大学院進学へ!メリット・デメリットと進学ルート

高専卒業後、大学3年生に編入するのではなく、高専専攻科に進学する選択肢もあります。

高専卒業後は大学と同じように、

  • 大学院へ進学
  • 企業へ就職

の2通りの道があります。

保護者

高専専攻科からでも、大学院へ進学できるのね。

高専の先生

もちろん、専攻科卒業後は、一般の大学生と同じように大学院へ進学できますよ。

本記事では、高専専攻科から大学院へ進学するという選択肢について、そのメリットや進学方法、知っておくべき現実を詳しく解説します。

目次

なぜ大学院へ進学するのか

専攻科から大学院に進学する学生は、以下のような目的を持っていることが多いです。

専門性をさらに深めたい

高専で学んだ専門分野を、大学院でより高度なレベルで研究したいと考えています。

学歴を高めたい

大学院を修了することで得られる修士号や博士号は、将来のキャリア形成において大きな武器になることがあります。

専門分野を変えたい

これはレアケースですが、高専で学んだ分野とは異なる分野に興味を持ち、新しい知識や技術を身につけようと、あえて別分野に進みます。

社会に出たときに専門家として活躍したい、より高度な研究に携わりたいという強い意志がある学生には、大学院進学は非常に魅力的な選択肢です。

専攻科から大学院へ

  1. 高専本科(5年間)を卒業→「準学士」を取得
  2. 高専専攻科(2年間)に進学し、卒業→学位授与機構を通じて「学士(工学)」を取得
  3. 大学院(2年間:修士課程/博士前期課程)に進学→修了で「修士号」取得
  4. 大学院(3年間:博士後期課程)に進学→修了で「博士号」取得

大学院へは、「学士」を取得してはじめて大学院進学資格が得られます。

専攻科と大学編入の違い

項目大学編入高専専攻科
学習環境大学3年(東大・京大は2年)に編入
一般大学生と一緒に学ぶ
高専内で少人数制
研究重視の学習
学位卒業で「学士」学位授与機構を通じて「学士」
人間関係大学のコミュニティに合流高専の仲間と学び続ける
費用国公立大2年間の学費(入学金+授業料)高専専攻科2年間の学費

大学編入時と、大学院入学時の2回入学金を収めなければならないので要注意!

保護者

進学ルートによって、生活や環境が結構変わるのね。

大学院大学という進学先

知っている人は多くありませんが、大学院には「大学院大学」と「一般の大学の大学院」の2種類があります。

保護者

大学院大学なんて、初めて知ったわ。

という人も多いのではないでしょうか?

大学院大学

大学院大学とは、研究環境を改善するため、かつて学部に重点が置かれていたものを大学院に重点を置いた大学です。学部を持たない大学院大学もあります。

大学院大学では、全国からさまざまなバックグラウンドを持つ学生が集まります。

大学生

大学院大学に見学に行った時、普通の大学とは全然雰囲気が違うから驚いたよ。おっさんばっか!でも研究に集中できそうな環境が整ってて、「良いな」って感じた。

企業が優秀な社員に博士号を取得させるために派遣させることもあるため、社会人学生が多いのも特徴です。

研究に集中できる環境が整っているため、より高度な研究に打ち込みたい学生におすすめです。

大学院重点化大学院大学
  • 旧帝大(東大、京大、阪大、名大、北大、東北大、九大)
  • 東京科学大学
  • 筑波大
  • 一橋大
  • 東京農工大
  • 金沢大
  • 岡山大
  • 広島大

など

学部を持たない大学院大学
  • 奈良先端科学技術大学院大学
  • 北陸先端科学技術大学院大学
  • 光産業創成大学院大学(私立)

など

ここに挙げた大学以外にも大学院大学がありますので、それは各自調べてください。

学部を持たない大学院大学の存在を知っている人は少ないので、大学院名を言っても「どこそれ?」という顔をされることがあるかもしれません。

大学院での学び方

理系であれば大学院まで進学するのは割と一般的ですのでご存じの方も多いかもしれません。

しかし知られていないことも多いと体感的に感じていますので、大学院の教育システムについて軽く紹介します。

修士課程と博士前期課程

大学院大学では、2年の修士課程ではなく、博士前期課程(2年)・後期(3年)と表記されます。

博士課程全体としては5年の課程になりますが、博士前期課程を修了する段階で修論をまとめ、認められれば修士号を取得できます。

多くの学生は、博士前期課程を修了した修士の段階で就職していきます。

博士課程前期・後期

博士前期課程で就職する予定の学生には、2年間で終わるようなテーマが与えられます。

しかし博士後期課程まで進学して研究する意思のある学生には、5年間を通して研究するようなテーマが与えられることがあり、腰を据えて研究に取り組むことができます。

研究テーマについて

修士の場合、大学院からの場合は2年間でできるテーマですが、学部からの内部進学である場合は3年間かけて研究するようなテーマが与えられることがあります。

同様に博士号を取る場合も、学部からの学生は6年かけて研究するようなテーマが与えられ、卒論や修論は中間発表という形で研究をまとめます。

編入よりも専門を変えやすい

高専から大学に編入する場合、基本的に高専の学科と近い学部への編入しますが、それに比べて大学院へは進学する際に比較的専門を変えやすい特徴があります。

高専男子

機械を専攻していているけど、電気に興味を持った場合、電気工学専攻科へ進学しても問題ないんだね。

専門を変えることのメリット

専門分野を変えても前の専門分野が無駄になるわけではなく、学際的な視点から研究に取り組めます。

専門を変えることのデメリット

変更した先の専門知識は未熟な面が否めないので、最初は知識面でかなり苦労します。

私が見た実例
  • 工学研究科博士前期課程→医学研究科博士後期課程
  • 教育学部卒(文系)→理学研究科修士課程
  • 農学部卒→情報学研究科博士前期・後期過程
  • 理学部卒→情報学研究科博士前期課程→医学研究科博士後期課程
とある高専生の母

そういう私も、「理学部」→「情報学研究科博士前期課程」なので、理学士からの学術修士です。

  • 腰を据えて長い目で1つのテーマに取り組みたい方は、所属する大学や研究室を変えず、1つのところで研究
  • いろいろな先生のもとでいろいろな知識や技術を学びたいのなら、大学や研究室を変える

大学院入試は「簡単」って本当?

大学院入試は一般入試よりも簡単だ

という話を耳にすることがありますが、これは半分本当で半分嘘です。

大学院にも定員がありますし、また、希望する研究室に秋がなければ入学できません。

所属したい研究室の教授が、

大学教授

この学生と一緒に研究したいな。

と思ってもらえるような学力と熱意が必要です。

試験で及第点以上の点数を取らないと研究室の定員が足りなくても合格はしませんので、受験勉強が必須なことには代わりはありません。

研究室訪問はマスト

学部からの内部進学は問題ありませんが、外部から大学院に入学する場合、試験を受ける数ヶ月前に研究室訪問をして、教授と直接お話をしておくことは必須です。

教授と話すことで、パンフレットからはうかがい知ることのできない雰囲気や研究内容、さらには入試に関する貴重な情報をもらうことができます。

とある高専生の母

私の時代は教授に手紙を書いて研究室訪問をしました。今はメールが主流ですが、訪問の必要性は今も変わっていません。

有名大学へも行きやすい大学院

有名大学の学歴が欲しいだけなら、その大学の人気のない研究室を調べてそこを受ける方法もあります。

大学時代の同級生

どうしても○○大学に行きたくて、そこの専攻で人気のない研究室を調べて受験したら受かったよ。

とある高専生の母

私もロンダ組なので、あまり人のことは言えないんですけどね……。

まとめー大学院進学は未来を拓く選択肢の一つ

高専専攻科からの大学院進学は、さらに高度な専門性を身につけ、将来のキャリアを広げるための魅力的な選択肢です。

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この記事を書いた人

沼津高専機械工学科を卒業し、現在豊橋技科大4年生の娘をもつ母です。
娘は2年時:階長、卓球部部長→3年時:棟風紀、学習支援部長、卓球部部長、美化副委員長→4年時:寮生会長、美化委員長
私は教育後援会教育部会副部会長(2年時)→浜松支部副支部長(3年時)→浜松支部支部長(4・5年時)
と歴任しました

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