高専から旧帝国大学と行った難関大学へ編入することは、簡単だという噂を聞いたことはないでしょうか。
難関大学への編入が簡単なら、高専って、へたな進学校に進学するより、ものすごくおいしい学校じゃないの!
と思ったそこのあなた。ちょっと待って下さい!
そもそも高専は大学へ進学するために存在する学校ではありません。
難関大に編入しやすいという理由だけで高専を選んでしまうと、後々後悔します。
難関大学はやはり難関大学。難関大学へ進学する学生は普通高校へ進学しても、おそらく難関大学へ進学できるんじゃないかな?と思われるような優秀な学生です。
高専からは基本的に工学部へしか編入できません。他学部へ編入できなくもないですが、相当ハードルは高いです。
高専から大学工学部へ進学し、高い専門性を持ったエンジニアになる強い意志がある子にはおすすめできる進路選択です。
難関大学への編入の実態
明石高専のように、毎年何人も東大や京大、旧帝大に編入生を送り出している高専があることは確かです。(そもそも明石高専の受験偏差値は、進学校よりも高いほど)
高専の中でも比較的偏差値が高く、進学率の高い高専は進学高専と呼ばれることがあるようです。
高専の本分は大学に編入することではありません。高い専門知識と技術を持ったエンジニアを育てることです。
進学高専と呼ばれる高専でも、基本的に進学校ような積極的な進学指導はしません。進学よりも就職に力を入れています。
進学校のような積極的な進路指導を期待する保護者の方もおられるのですが、編入試験の性格上、そのようなことはしませんし、できません。
編入試験は大学により学科により出題傾向が大きく異なります。大学受験のような画一的な受験指導は困難です。
進学する学生はより専門的に学びたいと考えている学生。進学したい大学については自分で調べ、対策を練り、自分で手続きをします。決して人任せにはしません。
親は……、一応子どもの進学相談にはのってあげますが、基本的に本人任せです。
本当に難関大学に強いのか?
進学する学生の中でも難関大に進学する学生は、地域のトップ校にいける実力がもともとある学生だといわれています。
工学分野が好きで、早く専門知識と技術を学びたいから、地域のトップ校ではなく高専を選んだような学生。
興味のない国語や社会の勉強は最低限にとどめ、興味のある分野を深く追求するために、高専から大学工学部という選択をしています。
国立大一般入試では、国語や社会の成績も必要になってきますが、編入試験では必要ありません。国語や社会の勉強が苦痛すぎる超理系な子どもにとって、高専から難関大学への進学は選択肢としてありだと思います。
才能を伸ばす教育としてありだと思います。
一方、自分の得意分野で勝負できるといえば聞こえは良いですが、できて当たり前の専門分野なので逆に大変という見方もできます。
国語や社会が得意な子なら、一般進学校から難関大の方が行きやすいのではないでしょうか。
高専から難関大に進学できるような学生は、入学後もサボることなく勉強しています。
寮生活で親の目が届かなくなっても、目標がある子は勉強します。自宅通学生でも同様です。
難関大学を目指す学生は、部活動も一生懸命にやっています。4年生の高専大会が終了すると部活動を自主的に引退し、受験勉強モードに入ります。
難関大に進学した先輩は、4年生になると部活にはあまり顔を出さなくなるし、寮活も熱心にやらなくなって対策勉強一筋になっていくよ。
おそらく、難関大への編入試験のための受験勉強の大変さは、一般入試の受験勉強と変わりないのではないでしょう。しかも高専は実験実習のレポートも普段どおりこなしていかなければなりません。
よく言われるような、楽なルートとは決して言い切れません。
東工大や旧帝大に進学した先輩は、1年のときからトップ争いをしていた人だよ。過去問をもらうと、どれも満点に近くてビビる!
ツッコミどころ満載のYahoo!ニュースのとある記事
Yahoo!ニュースにも記事が掲載されていましたが、おおもとのデイリー新潮の記事より一部抜粋します。
2020年度から始まる「大学入学共通テスト」での英語民間試験の活用が延期になった。先行き不透明な大学入試。もし、高校選びがこれからなら、いっそ5年制の高等専門学校(以下、高専)経由で大学を目指してみてはどうだろう。大学に入る際は編入扱いになるので、共通テストの受験は不要。それでいて、東大などの難関大にも行ける。
東大、東北大、九州大・・・。国立茨城高専(偏差値64、高校入試ドットネット、以下同)の2019年卒業生のうち、大学に編入した学生の進路の一部だ。
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/11160700/?all=1
いろいろとツッコミどころ満載な記事内容で、Yahoo!ニュースに記事が掲載されたときのコメント欄は、元高専生や保護者からのツッコミ、高校生からのやっかみに溢れておりました。
偏差値で輪切りにされる高校受験とは違い、高専の偏差値はあくまでもただのボーダーラインです。確かに下位はボーダーラインかもしれませんが、上位は青天井。
地域トップ校に余裕で合格できそうな子が、エンジニア目指してあえて高専を選んで来ます。
高専という学校の存在を知らない方も多いので、こうして高専について取り上げてくれるのは嬉しいのですが、高専という学校を勘違いして入ってほしくありません。
批判の多い記事ですが、うまく利用しましょう。
高専がどのような教育を行っている学校なのかよく理解せずに選んでしまうと、後悔することになります。
工学に対する興味がまったくないのに、難関大学へ編入しやすいというだけで高専を選ぶと、入学してから苦労します!理数系中心の勉強、実験実習にレポート、入ってからが大変になります。
入学当初は工学に興味を持っていても、途中で工学以外のものに興味をもつようになったときの進路変更の難しさは、普通高校の比ではありません。
高専に入学後、トップクラスの成績だったにもかかわらず高専に違和感を感じ、退学していく学生の存在を忘れてはいけません。
高専からは工学以外の学部へ進むことはできなくもないですが、ひじょうに困難。
高専を「難関大学編入に強い」といった一点だけで評価することはたいへん危険です。
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