高専の男女比を公開データから学年別学科別に徹底調査(2022年度版)

高専といえば男子というイメージを強く持っている人は多いではないでしょうか?

特に年配の方と話していると、高専は男子のイメージが強すぎて、娘と言っているにも関わらず途中から息子に変換されていることもしばしばあります。

高専男子

高専は女子が少ないから、女子とワイワイする華やかな高専生活は夢見ないほうが良いよ。

なんて言われることもあります。

しかし昨今は女性技術者や女性科学者といったリケジョが増え、体感的にも工学系に進む女性が増えています

実際にはどうなのか、体感ではなく公開されているデータから算出してみることにしました。

本記事では、高専の女子率は多いのか少ないのか、公開されているデータを調べてまとめています。更に細かく分野別の女子率も算出し、比較のために工業高校と大学工学部のデータも調べました。

結論として、高専の女子の比率は年々増加傾向にあり、全体として2割を超えていることがわかりました。

目次

高専全体の女子率の変遷

まずは文部科学省が公開しているデータから抜き出して、まとめました。

1990年度2000年度2020年度2021年度2022年度
全体52,93056,71456,97456,90556,754
うち女子4,67710,62411,67111,92912,268
女子率(%)8.818.720.521.021.6

平成が始まった1990年度は8.8%しかなかった女子率ですが、近年は2割を超えるようになり、年々増加傾向にあります。

昔は女子寮が整っていなかったこともあり、入りたくても入れなかった女子が多かったのかもしれません。表には示しませんが、1995年度頃に急上昇しています。

現在の学年ごとの女子率は以下の通り。

1年2年3年4年5年専攻科
全体10,86510,74610,90210,71410,2843,167
うち女子2,5832,3902,3972,3042,122463
女子率(%)23.822.222.021.520.614.6
2022年度学年別

約2割が女子学生であり、年々女子率が増加していることがわかります。

分野別男女比率

学科により女子率に差があることは体感としてわかりますが、これも実際はどうなのか、各高専のWebサイトに公開されている情報(主に学校要覧)から数値を抜き出し、算出してみました。

ただし、以下のような高専は集計から省きましたので、すべての高専を集計しているわけではありません。

  • 男女別の学生数を公開していない
  • コースが分類不能
  • 名称が変わってよく分からない
  • そもそも学生数を公開していない

学科の分類は

に従いました。

複合学科として募集し、2年生以上で各学科に分かれる高専の場合は、学科に分かれた後の数字を集計に含めました。

機械・材料系

1年2年3年4年5年全体
男子1,3021,6731,7221,6781,6047,979
女子2442322202601941,150
女子率15.8%12.2%11.3%13.4%13.4%12.6%

機械系が最も女子率が低いですが、年々増加しています。

とある高専生の母

はじめて統計を取った時は、全体で9%しかいなかったのに、随分増えました。

機械・材料系でまとめていますが、ほぼ化学系ともいえる鈴鹿高専材料工学科は46%が女子です(文科省の分類に従うとここに分類されます)。他の高専の材料系は3割ぐらいです。

材料系を省けば、10%強ぐらいです。

電気・電子系

1年2年3年4年5年全体
男子1,6532,0092,0692,0011,9879,719
女子3123093072972421,467
女子率15.9%13.3%12.9%12.9%10.9%13.1%

2019年度の女子率は約11%だったのに、機械同様、電気・電子系も着実に女子が増えています。

情報系

1年2年3年4年5年全体
男子1,0511,2521,3291,2981,2696,199
女子2713263123232741,506
女子率20.5%20.7%19.0%19.9%17.8%19.5%

約2割が女子です。過去データと比較して、多少の増減はありますがほぼ横ばいです。

商船学科のある高専では、なぜか女子率が約4割と高くなる現象がみられました。

化学・生物系

1年2年3年4年5年全体
男子4826086766685863,020
女子4524905165054802,443
女子率48.4%44.6%43.3%43.1%45.0%44.7%

化学・生物系は女子率が高いと言われていた通りの結果が出ています。しかも、年々増えています。

鈴鹿高専生物応用化学科は62%と最も高い値。学科名に「生物」がついていると、女子の割合が約5%増える傾向があります。

土建系

1年2年3年4年5年全体
男子6597998528478133,970
女子3854294504154132,092
女子率36.9%34.9%34.6%32.9%33.7%34.5%

建築・土木系も女子に人気の学科で、女子率は約35%となりました。年々女子率が増加していいるのがわかります。

中部地方の高専で建築科の人気が高く。岐阜高専建築工学科は約57%と半数超えしていました。

商船系

1年2年3年4年5年自習生全体
男子163171169152157160972
女子454235391728206
女子率21.6%19.7%17.2%20.4%9.8%14.917.5%

以外にも多い女子率。船乗りを目指す女性が増えているということなのでしょう。

富山高専に多く、他の商船高専よりも女子率は倍でした。

工業・商船以外

1年2年3年4年5年全体
男子6540473734223
女子114119125128122608
女子率63.7%74.8%72.7%77.6%78.2%73.2%

福島高専ビジネスコミュニケーション学科、富山高専国際ビジネス学科、宇部高専経営情報学科、サレジオ高専デザイン工学科の4つの合計です。

高専には珍しい文系学科ということもあり、女子率が非常に高くなっています。

他の工業系学校(工業高校・大学工学部)との比較

高専のデメリットとして

高専男子

高専は女子が少ないから、花の高校生活は謳歌できなくて後悔するよ。

と語られることが多いので、同じ工業系である工業高校および大学工学部の女子率と比較してみました。

調べてみたら、工業高校も大学工学部も女子は少ないとは言いながら、その割合は年々増加しています。

工業高校との比較

工業高校の女子率も当然学校や学科、年度によって差はあります。同様に、文部科学省の統計から数字を引っ張ってきました。

男子女子女子率
185,61426,14912.3%

工業高校は高専の女子率より1割も少ないじゃん……。

女子が少ないから高校生活を謳歌できないというのなら、工業高校生はもっと高校生活を謳歌していないことになってしまいます。

実際は、そんなことありません。

工業高校生もちゃんと青春をエンジョイしている話はよく聞きます。

とある高専生

高専男子だって、花の青春をエンジョイしているやつはいっぱいいる。

大学との比較

ついでなので、大学の工学部とも比較しました。

情報源は同じく文部科学省の統計データからです。

男子女子女子率
322,41860,38315.8%

高専と工業高校の中間の値でした。

まとめ

あなたが抱いている高専のイメージに合致していましたでしょうか。あなたが志望する、あるいは通っている高専と比べてどうでしたでしょうか。

中学生

工業高校よりも多いなんて、意外と女子がいるんだね。

高専女子の増加に、女子寮の部屋数や女子トイレといった施設部分の整備が追いついていない面があるかもしれません。女子学生用施設の増設には予算の都合もあるので、すぐに解決することは難しいのかもしれませんが、徐々に解消されていくものと期待しています。

とある高専生

沼津高専は古い寮を建て替えた際に、女子の部屋が増えたよ。

意外と女子が多かったとはいえ、年配の方にはまだまだ高専といえば男子というイメージが強いのも確かです。しかし着実に、女子学生は増えています。

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この記事を書いた人

沼津高専機械工学科を卒業し、現在豊橋技科大4年生の娘をもつ母です。
娘は2年時:階長、卓球部部長→3年時:棟風紀、学習支援部長、卓球部部長、美化副委員長→4年時:寮生会長、美化委員長
私は教育後援会教育部会副部会長(2年時)→浜松支部副支部長(3年時)→浜松支部支部長(4・5年時)
と歴任しました

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