娘ははからずも、父と同じ機会の道へ進みました。
中学卒業後の進路をどうするか。
中学卒業→普通高校へ進学→就職あるいは大学進学
が一般的なルートで、普通高校の代わりに高等専門学校が選択肢に上がってくることはまずありません。
高専が近くになければ、親だけでなく塾や学校の先生も進めませんし、子どもに至っては存在すら知らなくて当たり前。
我が家も最初の頃は、高専進学という選択肢なんて、もちろんありませんでした。
娘が高専に決めた理由は、他の高専生たちと違ってかなり特殊な事例かもしれませんが、参考にしていただけると幸いです。
ここでは、娘が志望校を高専に決めた経緯を紹介します。
娘の進路ぎめに、父の助言の果たした役割は大きい。
志望校を決めるまで
困ったことに、娘は中学入学当初から、
大学の工学部に行ってエンジニアになりたいんだけど、高校には絶対行きたくない!
の一点張り。中学での生活に不満があるとか、そういうものではありません。
高校なんて、どうせ偏差値で輪切りにされるのだから、行きなくないとはいってもそのうち偏差値で決められるだろう
と、母は楽観的に考えておりましたし、担任の先生も同じ考えでした。
しかしそんな状況はいつまで経っても変わらず。
部活動やクラブ活動で、いろいろな高校の部活動の練習に参加させてもらったことがあります。
しかし高校によって何が違うのか、その高校の魅力はなにか、全く何も感じることはありませんでした。
高校は中学のただの延長線上にすぎず、どの部活動が盛んなのかという差しかない!(進学校なんてそんなもの)
高校のオープンキャンパスに行っても、結局は部活動の紹介で終わるだけで、何の魅力もない!
大学には行きたいけれど高校は行きたくない。
だからといって高認を受けて大学というわけでもなく、どこか高校ではないどこかの学校に行って大学に行きたいとひじょうに悩ましいことを言っておりました。
高専という選択肢
大学には行きたいけれど高校に行きたくないという娘の悩みを聞いた父が、
工学系に進みたいというなら、高専という学校があるよ。この辺だと沼津高専と豊田高専が近いかな。その辺の工業高校なんかとは比べ物にならないくらいレベルが高くて、トップ校に行くような子が行くような学校だからね。
(中略)
まぁ、今のおまえの成績じゃ、無理だけどな。
うちの会社にも高専出身の人がいてさ……。
ここで娘は初めて「高専」という学校の存在を知りました。そして「高専」という学校があったことを思い出す母。
高専は工業系の学校ということ以外、どんな学校なのか、この時はまだ知りません。
それから3日後、塾の帰り道
今日さ、塾の模試の結果が届いたんだけどさ。あのね、お母さん、私、高専狙ってみたいなって思ったの。お父さんの言う通り、今の成績では無理だけど、今から頑張れば行けるんじゃないかなって……。
その時の模試の結果は、それまでの模試の成績では一番良かったとはいえ、高専の合格ラインのしっぽが見えてきた程度に過ぎません。
高専に行きたければ行けば良いよ。でもその前に、お父さんもお母さんも普通高校からの大学だし、高専のこと全然知らないから、まずは一緒に高専について調べようか。おそらく中学の先生も塾の先生も高専のことは詳しく知らないと思うし。
入試のシステムだって、公立高校や私立高校とは違うはずだよ。あと、寮生活になるはずだからね。いろいろ調べて納得できたのなら行けばいい。
自分の頭で考えて悩んで出した決めた自分の進路なら、お母さんは絶対反対しないからね
ということで、親子3人、それぞれの目線で高専について情報を集めまくりました。集めれば集めるほどに高専は娘に合ってる学校に思えてきました。
大学は行きたいけれど高校には行きたくない
そんな娘の希望も満たしています。もともと工学向きの娘です。高専ならきっと楽しく学べるに違いありません。
もちろん、高専に行くことのデメリットも調べました。
それでも、娘にとって高専へ行くことのメリットの方が多いと感じました。
その一週間後に中学校で三者面談があり、志望校が決まったことを伝えました。
高専か…。面倒くさがりのおまえには、高専はいいかもな。いい意味での面倒くさがりなおまえにはピッタリだよ。お前はいつもなにか行う時は、最小限の労力で最大限の効果を生み出す方法を考えてから行動しているもんな。そういうやつは工学が向いているんだよ。
中学2年の冬のことでした。
まさか本当に高専に行きたいと言い出すとは、父は露ほども思っていなかったと思います。
志望校が高専に決まってからは、推薦で高専に行けるように内申点アップ大作戦で頑張りました。受験勉強も、良い意味での面倒くさがりの本領が発揮されました。
我が家が行った内申点アップの方法はこちらを見てね
学科決め
機械と電気で迷っているんだけど、どっちがいいかなあ?
これからは電気の時代だって言う人が多いから、電気のほうが良いのかなあ?でも機械も捨てがたいし……。
機械も電気も、どっちも女子が少なくてクラスに2、3人ていうレベルです。機械と電気のどちらが良いのかなんて、自分で決めることですが、自分のことなんてなかなかわからないもの。
機電系のことはやはり専門家の父の方がわかると思い、娘が学科決めで悩んでいることを伝えました。
あの子は機械だろ~。あの子に電気のことなんて分かるのかな~。
確かに、これからはエンジンよりもモーターの時代と言われるから、将来性は電気のほうがあるんだけどな。
でも機械か~。機械もな~。女性で機械設計やっている人はうちではいないんだけど、女性で機械やってる人はもともとの分母が少ないから、なんともいえないよね。今は女性エンジニアが求められているし、これからは増えていくのかもしれないのだろうけど。
父親としては、同じ機械の道へ進むことは嬉しさ半分の……、機械の楽しさも大変さもよく理解してのことなので、心境複雑な感じでした。男性ばかりで女性技術者が極めて少ない業界でもあります。
娘は願書を提出する直前まで機械と電気で悩んでいました。
娘は父の話を聞いて、あっさり高専の機械科を受験することに。
進路に関する助言をする一方で、娘が高専に合格してしまうと家を出ることになる寂しさもあるのか、
あいつ本当に高専を受ける気なのか?高専は受かりそうなのか?高校は受けないのか?
と願書提出するギリギリまでと聞いてきた父。
入学後
学科決めにあれほど迷っていたのに、
機械にして良かったよ。お父さんの言ったとおり、私、機械向きだったわ~。
普通高校に進学していたらきっと体験できなかったであろうことをいろいろと体験し、好きな理数系分野に特化した勉強に満足しているので、今のところ高専に進学して良かったと思っています!
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