高専により、年度により、学科により差はありますが、高専から大学へと進学を目指す学生は約半数に上ります。
ただし、進学への道のりは簡単ではありません。
高専は普通高校とは異なり、進学指導が限定的であるため、編入試験の情報は自主的に動いて自分で情報を集めなければなりません。
編入試験の募集要項はもちろんのこと、編入試験に合格した先輩からいろいろと情報を聞いたりしたよ。
また、一般的な大学受験とは異なり、大学編入試験の情報は少ない上に自分の成績の立ち位置がわからないという問題があります。
本記事では、高専生が大学編入する時の流れと、準備方法について解説します。
大学編入の基本情報
高専からの大学編入は、ほとんどの大学で3年次に編入します。
ただし、東京大学および京都大学の場合、取得単位の関係で2年次編入になります。しかし、高専本科からではなく専攻科から東京大学や京都大学の院に進学する場合、学年が遅れることはありません。
大学編入を目指す場合、修士課程(大学院)まで進むことを前提に考えるのが一般的です。大学の3年次、4年次で学ぶ内容は、高専での学習内容と大差ないため、学士課程のみでは高専卒と大きな差がつかないと言われているからです。
ただし、大卒の学位が欲しいだけなら、その限りではありません。
大学編入試験の準備は、以下の流れで進めます。
- 受験校を決める
- 推薦入試可一般入試かを選ぶ
- 受験対策を進める
受験校を決める
進学希望者には、高専で「編入試験ガイドブック」が配布されます。
高専の進学指導は基本的に個人の自主性に任されており、普通高校のような具体的な進学指導は行っていません。すべて自分で調べたり、先輩に聞いたりして情報を集め、計画的に準備を進めていく必要があります。
進学担当の先生が面倒を見ますが、やはり自分の頭で考えて行動できないと、進学は厳しいですね。
大学選びのポイント
特に学びたいものがないのであれば、単純に大学の偏差値や知名度で決めてしまっても構いません。
やりたいことがあるならば、大学選びは以下の3点に留意して選びましょう。
- 自分の興味関心分野
- 編入枠の有無
- 試験日程
高専生なら4年生の終わりには卒研を行う研究室を決め、5年生は卒研を行います。研究室は、自分の興味関心で選んでいることと思います。
大学は、その興味関心をさらに深堀りするために進学するものです。自分の興味関心分野を研究している先生のいる大学を目指すと良いでしょう。
編入生を受け入れる大学もあれば受け入れていない大学もあります。
もし、自分の行きたい大学が編入生を受け入れていないのであれば、高専専攻科を卒業してから大学院から入る方法もあります。
推薦で豊橋技科大受けることにしたから、よろしく。
実際、我が家は最終判断に関しては事後報告でした。
オープンキャンパスと研究室訪問
進学先を具体的にイメージするために、大学のオープンキャンパスに積極的に参加したり、研究室訪問してみるのが一番です。
特に研究室訪問は、教授と直接話す機会を得られるため、研究内容や進学後の環境を深く知ることができます。
研究室訪問のポイント
人によってはハードルは高いかもしれませんが、興味分野を研究している先生の研究室を訪問してみるのが一番です。
編入試験の場合はとくに必要ありませんが、他大学の大学院への進学を考える場合、研究室訪問は必須です。
研究室訪問は、以下の手順で行います。
- 興味のある研究室の教授にメールします。メールの内容は失礼のないように最新の注意をはらい、必要であれば指導教官に文面を確認してもらうとより安心です。
- メールのやりとりでアポイントメントを取ります。
- 研究室を訪問し、教授からいろいろと説明を受けます。
自分の研究分野に興味を持ってくれるのは嬉しいことだよ。拒む理由なんてないんだよね。よほどアホな質問をしてきたり、失礼な文章を送ってこない限り、できる限り時間の都合をつけて、会って話をしてみたくなるのが人間。気軽に連絡してきていいんだよ。
研究室に所属する学生に生の声を聞くこともできるかもしれませんし、試験情報が手に入ることだってあるかもしれません。
複数受験が可能な編入試験
一般的な国立大学入試とは違い、大学編入試験や院試は大学によって試験日程が異なるため、複数校受験することができます。
各大学の編入試験の日程を自分で調べ、受験計画を立てます。
日程さえ合えば本当に10校以上受けることができます。
受験科目があまりバラバラにならないように3、4校に絞って受けるのが現実的ですね。
推薦入試と一般入試の違い
編入試験にも、推薦入試と一般入試があります。
推薦入試
推薦入試では当然のことながら日頃からの課外活動も重要視されるので、活動には積極的に参加しましょう。
推薦入試は、編入生を受け入れているすべての大学で行われているわけではなく、一部の大学に限られます。
第一志望が推薦入試を行っているのなら、やはりまずは推薦で狙ってみてはどうでしょうか。
推薦するには、最低でも真ん中より上の成績でなければなりません。
高専で、その学生を推薦するかどうかの基準がありますので、まずそれをクリアしなければなりません。
推薦入試を行っている大学にはもちろん推薦基準があります。その大学が第一志望であり、かつ、3年次や4年次の席次や評価点が重要となります。
4月中旬に推薦者会議が行われ、学校として誰を推薦するか決定します。
高専から推薦してもらえたからと言って、必ずしも合格できるとは限りません。年によっては推薦入試の方が一般入試より倍率が高く、落ちやすいこともあります。
一般入試
一般入試は成績や推薦基準に縛られず、自分の努力次第で挑戦できます。
受験科目が大学によって異なるため、過去問や試験情報をもとに対策を進めましょう。
普通高校の大学受験対策とは異なり、高専では編入試験対策というものは行っていません。
なぜなら大学によって、あるいは学部学科によって編入試験の問題傾向が大学の一般入試以上に差があります。ゆえに、高専としては全体的な編入試験対策というものをやりたくてもできない状況にあるというのが実態です。
編入試験の時期と対策
編入試験は大学によって時期が異なります。早い大学では5月末から始まり、一般的には6~8月に試験が行われます。
6、7月に編入試験を行う大学が多く、旧帝大は8月頃に行うところが多いようです。年度によって変わりますので、必ず確認してください。
大学によっては二次募集、三次募集を行う大学もあり、12月まで試験を受け続けるような学生もいます(めったにないことなので、期待しないように)。
私立大学は、国立大学よりも時期が遅い傾向にあります。
編入試験対策開始のタイミング
春休み中に進学先を絞り込みますので、試験対策はそれよりも早い時期に始めます。
5年生になってから編入試験対策をするのでは遅すぎます。勉強は4年生の夏休み、対策は春休みから始まっていると考えてください。
具体的な対策方法
受験校を決めたのなら、編入試験に取り組みます。編入試験までに残された時間は、意外とないものです。
- 4年生までの学習範囲をしっかり復習
編入試験の大半は4年生の範囲から出題されます。年時の学習を毎回しっかりと漏れのないように身につけるとともに、1年~3年生で習った内容の復習をしていきます。 - 過去問分析
手に入る過去問は必ず入手し、傾向と対策を立てます。 - 英語力の強化
編入試験では、高専生が苦手とする英語が合否を分けることが多いです。 - 高専専門塾を活用する
高専専門塾では、大学編入試験に向けた対策コースが用意されています。上手に活用しましょう。
過去問分析
編入試験の過去問が手に入るのであれば、手に入れておきましょう。
大学によっては、編入試験の過去問をネットからダウンロードできるところもありますし、お取り寄せできるところもあります。
部活の先輩から、代々受け継がれた大量の過去問をもらったよ。
過去問を解いて、傾向と対策をしっかりやっておくことが基本。
一般の大学入試でもそうですが、編入試験や院試ではますます大学というより、大学の先生の色が強く出ます。
試験問題を作成するのは大学の先生の多くは、自分が得意とする分野から問題を作成する傾向があります。過去問が手に入らなかった場合、その大学の先生方の専門分野から山掛けして勉強しておくのも一つの方法です。
英語対策とTOEIC
理数系が得意な高専生にとって、理数系科目は点差が開きにくいものです。合否の決め手は、高専生が苦手とする英語がここで重要になってきます。
英語の試験はTOEICで代替できる場合があります。
編入を目指すなら、TOEICで最低でも600点(就職なら500点)を目標にしましょう。
TOEIC対策ポイント
- 複数回受験し、最高スコアを大学に申請する
- 専門英語にも対応できるように、基礎英語力を徹底的に磨いておく
旧帝大クラスに編入していく学生は、1年生の時から英語対策をしっかり行っています。
高専専門塾【ナレッジスター】で効率的に対策する
大学編入を目指すに当たり、
自分で計画を立てなきゃいけないのは分かっているけれど、何から手を付けていいのかわからないんだよね。
という学生には、高専専門塾【ナレッジスター】の「大学編入試験対策コース」を利用するのも一つの方法。
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大学編入で成功するための心得
大学編入試験は、高専生にとって自分の興味を深める大切なステップです。
自分の将来の目標を明確にし、計画的に準備を進めましょう。
- 自分の興味分野の明確化
- 過去問や試験情報の収集
- 英語力強化
高専で培った力を活かし、目標とする大学への編入を成功させてください!
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