高専にはさまざまな企業から求人があります。
高専全体に来る求人もあれば、学科を特定してくる求人もあります。
就職氷河期のときですら、1人あたり10社以上の求人が届いていました。
恵まれたことに、高専の辞書に『就職難』の言葉はありません。
基本的に、学生たちはそれらの求人票を見て、行きたい企業を選んでいきます。
売り手市場なのは良いんだけれど、企業をどうやって選べばいいのかわからない。
どのような点を重視して企業を選んでいくのかは本人が決めることです。
悩んでいることがあるのであれば、親は社会人の先輩としてアドバイスこそすれ、「この会社にしなさい!」という強制はしないようにしましょう。
子どもの人生、子ども自身に考えさせます。
条件の優先順位を決めよう
自分が希望するような条件をすべて満たすような会社なんて、そうそうありません。妥協することも必要でしょう。
就職先を選ぶに当たり、何を大事にしたいのか優先順位を決めておくと、絞りやすくなります。
- 業界と職種
- 勤務地
- 給与・賞与・昇給
- 福利厚生
- 社風
業界と職種
どのような会社(業種)でどのような仕事(職種)をしたいのか、考えておきます。
- 鉱業
- 建設業
- 製造業
- 食料品
- 繊維工業
- 化学工業
- 金属製品製造業
- 非鉄金属製造業
- 鉄工業
- ……
- 電気・ガス
- 運輸・通信
- ……
- 営業職
- メーカー営業職
- メディア営業職
- 小売営業職
- ……
- 事務職
- 経理・財務
- 人事
- 企画・マーケティング
- 貿易事務
- ……
- 技術職
- 機械設計
- 品質管理
- 技術営業
- 研究開発
- ……
- ……
職種によっては、会社によっては大卒・院卒しか採用していない場合があります。
特に研究開発職は、院卒以上を条件としている会社が多いのではないでしょうか。
就職してから気づくようでは遅いので、高専卒で就けるなりたい職種がその会社にあるのかどうか、注意しなければなりません。
その職種が大卒・院卒でしかなれないようなものであれば、諦めるか、進学を選ぶことになります。ただし、進学したからと言ってその職種に就けるとは限りません。
勤務地―転勤ありか、地元にいたいのか
- 全国・海外転勤あり
- 地域限定で転勤あり
- 転勤はまったくない
- 地元にこだわりたい
勤務地をどうするかにより、選ぶ会社も変わってきます。
「総合職=全国・海外転勤あり」のような大企業もあれば、大企業でも特定地域にしか事業所がないため転勤のない会社もあります。
全国転勤と地域限定の転勤、転勤なしを選べるけれど、それに合わせて給与体系も変わる会社がほとんどです。
給与・賞与・昇給―高専卒の待遇はどうなっているのか
重要なことなんですけど、あまりピンと来ないのか、重要視しない学生が多いんですよね。
高専卒者のもつ専門知識は大卒者と同等レベルです。
高専卒を高卒扱いにするのか、大卒者と同じ扱いにするのか、会社によってまちまち。
大卒者と同じ扱いの会社は、高専卒が22歳になった時の給料が大卒者と同じになっており、昇給・昇格の仕方に差がありません。
高専卒の昇給・昇格テーブルが、大卒なのか、短大卒なのか、高卒なのかで、仕事に対するモチベーションも変わってきてしまいます。
高卒扱いの会社は、高卒者と同じ昇給・昇格テーブルとなっていた場合は要注意!
会社側からしてみれば、大卒者並みの知識を持った人間を、高卒と同じ安い給料で使える美味しい存在としか見てもらっていないということを意味します。
高専は学位としては短大卒と同じ準学士となってしまうため、昇給・昇格のペースが高卒以上大卒以下になっているところがほとんどだと思います。
一部の会社では、見込みのある社員を大学に送って勉強させ、大卒・院卒資格を取得させます。
隠れた優良企業などは専門知識を持った優秀な学生が集まりにくいため、見込みのある者を関連する研究を行っている大学に送って専門知識を身につけさせます。
大学での成績が会社に送られることになりますので、必死に勉強しなければならないので大変かもしれません。
家庭の事情で大学に行けなかったけど、仕事で頑張って認めてもらって、会社から大学にいかせてもらうことを狙っているんだ。
出世レース
でも、ちょっと考えてみてください。
高専卒は大卒に比べ、大企業に就職しやすいです。
そして大企業で出世競争をする同僚たちの学歴(というか出身大学)を思い起こしてみてください。
大企業に入社してくる人は、いわゆる一流大学と言われる大学を卒業した人たちです。それ以外の大学を卒業した人は、あまりいないのではないでしょうか。
大企業では、そんな一流大卒の人たちと出世競争しなければならないのです。
入社してしまえば学歴よりも実力が重要だと言われますが、やはり一流大卒者有利であることは変わりはありません。
そのことを理解しておいたほうが良いでしょう。
福利厚生
福利厚生も重視してほしいのですが、学生さんたちはピンとこないのか、あまり重要視してないですね
給与体系と同じく、保護者の方から子どもにフォローをが必要な項目かもしれません。
- 法定福利厚生
- 社会保険(雇用・健康・介護・労災・厚生年金)
- 子ども・子育て拠出金
- 法定外福利厚生
- 住宅手当
- 通勤手当
- 健康診断および人間ドック受診料
- 退職金
- 401k
- などなど
ほとんどの企業は法定外福利厚生を提供していますが、その内容や金額は、会社によって異なります。
福利厚生は、仕事の満足度に関係します。
社風
会社によっては、就職活動時に工場見学などを行っているところがあります。
会社の事業所や工場を見学した時、その会社の雰囲気が自分にあっているのかどうかは重要です。
1日の多くを過ごすことになる職場。合わない職場は苦痛。
働いている従業員の方たちが楽しそうに仕事をしてるのかどうかも、チェックしておきたい項目です。
自分がどんな働き方をしたいのか考えよう
高専生は大学生のように企業を何社も回って、就職試験を何社も受ける必要はありません。
複数の内定先から1社を選ぶということもありません。
高専に届いた求人票の中から1社を選んで就職試験を受けることになるので、慎重に選ぶ必要があります。
給料が低くても自分のやりたい仕事だからと選んでしまうと、生活にゆとりがなくなります。自分に合わない仕事を給料だけで選んでしまうと、仕事はしんどくつまらないものになってしまいます。
業界、職種、給料、勤務地、……、どれを優先するのか。
すべての希望を満たすような企業なんてめったにありませんが、自分にとって最適なバランスを見いだせる企業を見つけたいものです。
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