沼津高専専攻科で始まった全国初の医工連携教育の試み

娘が高専を卒業した今でも、私は沼津高専教育後援会の賛助会員として、毎年懇親会に参加しています。

とある高専生の母

この会で「現在の沼津高専」のお話を聞くのが、毎回楽しみなんです。

その会で聞いたこと。娘が卒業した後に始まった、専攻科のある取り組みについて、紹介いたします。それは、

沼津高専専攻科 総合システム工学専攻 医療福祉機器開発工学コースでは、浜松医科大学医学部および名古屋大学医学部と連携し、医学部の教授から専攻科学生に対し、半年間にわたり直接研究指導を受ける。

というもの。

浜松医科大学の近くには静岡大学工学部がありますし、名古屋大学には工学部はあります。

なぜ大学の工学部ではなく、沼津高専専攻科と研究連携が行われているのか、詳しい背景までは把握していません。

本記事では、懇親会の場で聞いた内容をもとに、専攻科の取り組みについて紹介いたします。

進路を考える材料の一つになれば幸いです。

目次

沼津高専「医療福祉機器開発工学コース」で行われている取り組み

沼津高専専攻科「医療福祉機器開発工学コース」では、医療と工学を結びつけた、実践的な教育が行われています。

その中で近年始まった取り組みが、医学部との連携による研究指導です。

全国初、医学部が認めた「高専生の可能性」

この取り組みは、まず浜松医科大学医学部整形外科との連携から始まりました。そこで得られた成果と実績が認められ、現在は名古屋大学医学部とも連携。

大学医学部教員が高専生専攻科の学生に対して研究指導を行う取り組みは全国初の試みとのことでした。

現在も試行錯誤を重ねながら連携先を広げている段階だそうです。

単発の講義で終わらない

ここで行われているのは、いわゆる「特別講義」や「単発の見学」ではありません。

半年という比較的長い期間をかけて、現場の最前線に立つ先生方から直接指導を受ける点が大きな特徴です。

  • どのような機器が現場で求められているのか
  • 工学技術で解決できること、逆に難しいことは何か

医療現場で実際に起きている「悩み」をベースに、研究課題として深掘りしていきます。

机上の理論を現場の技術へ

医療福祉機器の開発は、単に高性能な装置を作るだけでは不十分です。

  • 使う人の身体的な状況や医療現場の物理的制約
  • 命に関わることだからこそ、安全性とコストのバランス

教科書だけでは見えにくいこれらの要素を現場の医師から直接学べることには、計り知れない価値があります。

机上で課題を作るのではなく、現場の声を起点に研究する。

この経験は、医療福祉機器開発工学コースならではの学びではないでしょうか。

整形外科の先生から、半年間研究指導を受けるという経験

医療福祉機器開発工学コースで行われている医学部との連携は、整形外科の先生から研究指導を受けるという点に、大きな特徴があります。

整形外科は、骨や関節、筋肉、運動などの運動器を扱う分野。身体のメカニズム(生体力学)の世界です。

  • 人工関節や骨折の固定具などの医療用インプラント
  • 身体機能をサポートするリハビリ機器
  • 歩行を助ける装具や補助具

これらを開発するには、医学的な知見はもちろん、材料工学や機械力学といった工学技術との融合が欠かせません。

なぜ半年という長期なのか

単なる見学や短期間のワークショップでは、現場の困りごとの本質までは、なかなか見えてきません。

医師との対話を重ねることで、教科書通りの正解ではなく、現場で求められていることの本質を身体に染み込ませていきます。

現場の考え方や価値観に触れながら研究を進める経験は、医療福祉機器を開発するエンジニアを目指す学生にとって、何物にも代えがたい財産になるのではないでしょうか?

医学部教授から見た高専生

医学部の先生方は本当に忙しいです。

眼の前の患者さんたちの治療はもちろんのこと、医学部生たちへの教育、研究機関としての研究活動や論文執筆、さらには大学運営に関わる業務まで、その仕事は多岐にわたります。

とある高専生の母

科は違いますが、私は以前、浜松医科大学で勤務していたことがありまして、医学部の先生方がいかに多忙であるかを身近で感じていました。

そんな過密スケジュールの中、半年もの間、高専生の研究指導まで引き受けてくださるという事実は、

高専生を指導することへの、確かなメリットと価値

を先生方が感じてくださっているからではないでしょうか。

中には半年という期間を超え、医学部教授から卒業研究の指導まで受けている高専専攻科生もいるそうです。

高専専攻科という選択肢

高専生にとって、卒業後の進路は大きな分かれ道です。

「より広い世界を見たい」「学歴を更新したい」と考え、国立大学への編入を目指すのは王道ですし、私の娘もその道を選びました。

実際、高専専攻科は国立大学編入の滑り止めのような立ち位置であることも事実です。

しかし今回紹介した沼津高専の取り組みは、専攻科から広がる可能性にも輝きがあることを感じました。

旧帝大のような有名大学に編入したとしても、20代前半という若さで、医学部の教授からマンツーマンで、しかも現場の切実な課題をテーマに指導を受けられる機会は、そうそうありません。

沼津高専の医療福祉機器開発工学コースにあるのは、「工学のプロとして、医療の最前線に挑む」という、極めてエキサイティングな環境です。

こうした環境の中で、エンジニアとしての原体験を専攻科で積むことは、その後のキャリアにおいて、どんな肩書きよりも強い武器になるのではないでしょうか?

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この記事を書いた人

沼津高専機械工学科を卒業し、現在豊橋技科大大学院1年生の娘をもつ母です。
娘は2年時:階長、卓球部部長→3年時:棟風紀、学習支援部長、卓球部部長、美化副委員長→4年時:寮生会長、美化委員長
私は教育後援会教育部会副部会長(2年時)→浜松支部副支部長(3年時)→浜松支部支部長(4・5年時)
と歴任しました

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