沼津高専は寮生が多く、多くの学生活を経験します。
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15歳で親元を離れての集団生活。初めは慣れなくて戸惑いしかないことでしょう。
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高専寮は教育寮。寮は社会の縮図。楽しいことだけでなく、嫌なこともたくさんあります。
寮生活を通して学ぶことは多く、寮で学んだことは社会に出たときに役立つものばかりだと思っています。
- 組織の中の人間関係
- 生活力
これらが学べる寮生活は、人生の良き財産となるに違いありません。
高専時代の友人に会うと、いつも高専寮時代の話で盛り上がるんだよね。あの経験は、私の宝物だよ。
組織の中の人間関係
全くの他人と生活をともにする寮では、良くも悪くも人間関係を嫌でも学ぶことになります。
円滑な集団生活のために
寮は、寮則に則って運営されています。
全くの赤の他人が集まって集団生活をするのです。起こりうるであろう様々なトラブルを未然に防ぐためにも、寮則は存在しています。
寮則に書かれていることは、それほど難しいことではなく、一般常識や社会通念がわかっていれば普通に守れる範囲内になっています。
発生した問題は、できる限り寮生による話し合いで解決しようと努力します。
時に、寮務主事の先生が入って、解決を図ることもあります。
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寮則違反にはペナルティ
違反者には、違反レベルと回数によってペナルティが課せられます。
軽度であり初めてであった場合は、おそらく口頭注意で済むでしょう。
あまりにも問題が大きい寮則違反の場合、最悪退寮となります。
高額商品(iPhone)を盗んでしまったとか(退寮どころか退学に発展だったかな…)、異性寮に忍び込んだとか……。
寮則違反で退寮なんて、親泣いちゃう。ルールを守れなかっただなんて、自分の躾がなっていなかったということでもあるから、親の責任でもあるよね。
役職や委員などの役割
寮は一つの組織社会です。
円滑な組織運営のため、寮生会長をトップに副寮長、各委員長があり、その下に各棟長、委員、そして階長や各係員という組織図になっています。
組織図は、高専によって異なっています。各高専の公式サイトで確認できます。
寮祭などのイベントにも係があり、各自自分に割り当てられた役割を責任を持って果たしていきます。
先輩にやり方を教えてもらいながら実行していくこともあれば、先輩後輩に関わらず他の人を指揮していかなければならないこともあります。
自分に与えられた役割を自覚し、先輩後輩関係なくチームを率いることは、社会に出てからもひじょうに役立つ技能ではないでしょうか。
うちの息子がそんな役職付きになっちゃって、最初はちゃんとできるかどうかすごく心配したけど、大化けしてびっくりしたよ。
役職が人を育てます。
先輩後輩関係
先輩後輩の上下関係の厳しさは、高専や寮によります。
娘の場合、中学よりも緩くて楽しいと言っています。
先輩からは、生活だけでなく、勉強はもちろんイベント運営の仕方など、学ぶことはひじょうに多いです。
そして人間ですので、良い先輩もいれば悪い先輩もいます。
挨拶
高専の子は挨拶がしっかりしていて、やっぱ違うね。うちの子なんて……。
高専生は挨拶がしっかりできると褒められます。
寮生活で、「目上の人に対してしっかり挨拶をするように」という指導の賜物でしょう。
先輩に挨拶しても返ってこないことがありますが、気にしてはいけません。社会に出れば、もっとひどいです。
寮生活で社会に出る練習をしていると思っておきましょう。
寮生会長に決まった途端、最初はできていたのに次第に声が小さくなった1年生が、急に大きな声で挨拶してくるようになったよ。人間の嫌な部分を見ちゃった気分…。
相手の役職に関係なく、目上の人にはしっかり挨拶をしましょう。
身につく生活力
今まで親がやってくれていた掃除や洗濯を、自分でしなければいけません。
自分の部屋の掃除は自分の責任でやってもやらなくても良いですが、お互い友人たちの部屋は行き来するので、恥ずかしくない程度に掃除はしておいたほうが良いに越したことはありません。
共通で利用する廊下などは、みんなで掃除します。
ワイワイ、キャキャ言いながら掃除しています。
虫が出てキャーキャー言っていたり、窓からうっかり雑巾を落としたり…、楽しそうにも見え、面倒くさそうにも見え、いい体験ではないでしょうか。
物やお金の管理
盗難問題
盗難問題は、全く無いわけではありません。
人のものを取るほうが悪いのですが、盗られてもおかしくないような場所に置いておく方も悪いのです。
お金の管理
親からの小遣いの仕送りだけでなく、高専生はアルバイトをしてお金を稼ぐことができます。
最初は親からの小遣いでやりくりしていても、そのうちアルバイトをして自分で稼いだお金も加わり、一般的な高校生よりも自由に使えるお金が増えます。
後輩におごったり、自分の欲しい物を買ったり、貯金をしたり…。
後輩におごる金額がばかにならない
なんてボヤキが上級生から聞こえてきますが、それはそれで、人間関係を構築するのにカネがかかるということを学んでいるようです。
規則正しい生活
寮則に則り、起床時間、就寝時間、食事の時間、お風呂の時間が決まっているだけでなく、点呼の時間もあります。
時間を決めることは、集団生活を円滑にするためにも必要なこと。
この規則正しい生活は、最初の頃こそなかなか慣れなくて愚痴しか出てきませんが、2週間もすれば慣れてしまいます。
規則正しい生活は、勉強の効率にも影響します。
強制的に時間が決まっているということは、ついだらけてしまう人にとっては、ありがたいことではないでしょうか。
最後に
寮生活は、実際には上にあげたこと以上にいろいろなことを学んでいると思います。
生活をともにした仲間なので、その絆は普通高校の比ではないでしょう。
すべてを言語化することは難しいけれど、問題解決能力とか、指導力とか、いろいろな能力を伸ばして帰ってきて、帰ってくるたびに毎回驚かされています。
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