「高専生は頭が良い」といわれる理由はなに?その理由を探る

高専に通っているなんてスゴイね!頭いいんだね。

と言われることの多い高専生。

とある高専生

「高専に通っている」っていうと、特に年配男性から引かれるレベルで言われるんだよね。

その理由は、高校受験偏差値が60以上ある高専が多く、地域によってはトップ進学校並か、それに次ぐ存在だからです。

頭がいいと言われる高専生たちですが、当の本人たちはというと、

高専男子

自分は頭が良いなんて思ったことないんだけどな。

と思っているのが実情。

本記事では、「高専生は本当に頭がいいのか?」を、受験偏差値ではない観点から考察します。

目次

高専生が「頭がいい」と思われる3つの理由

高専生が「頭がいい」と評価される背景には、以下の3つのポイントがあります。

  1. 難関大学への編入実績
  2. 有名企業へ就職
  3. 理系分野への憧れ

高専卒業生たちが社会で活躍している事実が、「高専=頭がいい」というイメージを形作っています。

難関大学への編入実績

沼津高専では、卒業生の約半数が難関大学や国立大学に編入しています(学科や年度による差があります)。

進学に関しては高専により差があり、明石高専のように約75%が進学するところもあれば、進学は3割程度のところまであります。いずれも進学希望者はほぼ全員が進学しています。

その編入実績から、高専生は頭が良いと思われています。

学業成績トップでも就職を選ぶ学生もいますし、成績下位でも大学進学できます。しかし基本的に高専の成績上位層が大学に編入します。

受験偏差値によって薄切りにされる一般高校とは違い、高専は成績上位層と下位層の振れ幅が大きい特徴があります。

難関大学に編入するような学生は、たとえ普通高校に進学していたとして、大学受験で難関大学へ合格できる能力をもともと持っている学生です。

高専からの編入生を受け入れている大学の学生たちの評価

学生の大部分が高専卒業生で占められる技科大ではなく、一般的な大学受験を経て総合大学に通っている大学生からの評価です。

大学生

高専からの編入生って、めっちゃ優秀じゃん。

高専では、文系科目の授業が削られている一方で、

専門分野に関しては大学レベルの教育をすでに受け、実習も行っています。

高専の実習でもレポートを書かなければなりませんし、パワーポイントを使ってプレゼンテーションを行う機会も多いです。

つまり、普通高校では経験できないことを高専生はすでに経験済み

大学3年生に進学してはじめて本格的に専門科目を学んでいく大学受験一般入試からの大学生からみれば、すでに知識と実習経験を積んだ高専からの編入生は優秀にみえます。

一般高校生が大学に入学して初めて学ぶようなプログラミングや機械の操作など、高専生にとっては高専に入学したときからすでに始まっており、それらの作業はすでに慣れています。

大学の先生たちからは、

先生

大学入学後は遊んでしまう大学受験組に対し、高専からの編入組は真面目な子が多くて優秀。大学受験組にいい影響を与えているんだよね。だから、うちは高専編入枠を増やしてるんだ。

学業面よりも、課題に対し真面目に取り組む高専生の姿勢を高く評価しています。

とはいえ、持てる専門知識と技術を駆使して課題に真面目に取り組んでいるからこそ、成績優秀であり続け、大学の先生や周囲の大学受験組からの評価が高くなっているのだと考えられます。

有名企業へ就職する学生たち

進学ではなく就職を選択した学生たちの就職率は100%で、その就職先をみると、名だたる有名企業が並んでいます。

大卒で就職することはなかなか難しい企業に、高専生は安々?と就職していきます。

それはひとえに、その企業へ就職していった高専卒の先輩方が企業において高い評価を得ているからに他なりません。ゆえに、

「高専卒が高い評価を受けている」=「高専卒は頭がいい」

という図式が成り立っているのではないでしょうか。

たとえ高専時代の成績が振るわかなったとしても、就職先企業で高い評価を受け、それがまた高専卒業生の高い評価につながっています。

理論と実践の教育

では、高専卒はなぜ企業から高い評価を受けているのかというと、高専の教育システムが理論だけではなく実践も重視していることが挙げられます。

最近の大卒総合職は机上論ばかりで、実際に手を動かすところは外注したり、下の人に任せたりで理論と実践が噛み合わないんだよね。

というのが最近の日本企業の問題点。非効率なことこの上ありません。

その点、高専卒は理論だけではなく実践教育もしっかりとなされているため、

外注せずにまずは自分の手を動かすから、PDCAが爆速で回る

これこそが高専卒業生の強みです。

手を動かしながら考えることができるし、考えながら手を動かすことができるし、頼りがいがあるよ。

最終的に外注することになっても、まずは自分で手を動かして結果を出した経験がなければ、外注先に的確な指示などできません。

理系への憧れ

文系の人たちにとって、数学や物理といった理系科目は、

ワケワカラン記号が並んだ難しい方程式とにらめっこしている。頭痛くなりそう。

という類のものです。そのような人達から見たら、高専生は

自分が理解できないものを理解し、しかも楽しそうにやっている!

という一面があるのではないでしょうか。

とある高専生の母

私自身リケジョだから、そのへんのことはよくわかりません。

実際の高専生は賢いのかバカなのか

繰り返しになりますが、偏差値で薄切りにされる一般高校とは違い、成績上位層と下位層の振れ幅が大きいのが高専。

賢いやつもいれば、バカなやつもいるのが高専です。

とはいえ、馬鹿なやつと入っても下は高校受験偏差値がボーダーラインなので、一定以上の学力はあります。

上は地域トップの普通高校ではなくあえて高専を選んで入学してくるので、青天井!

とある高専生

マジでスゲーやつがいる

地方国立大学にもありがちなことですが、上は本当に青天井です。

勉強しないと進級できない留年制度という品質保証

留年制度のある高専では、そもそも勉強をしないと進級が出来ませんし、卒業させてもらえません。

進級するにあたり、基準があるのかないのかわからない高校とは違い、大学と同じような留年制度があります。しかし

この留年制度があるお陰で高専卒業生の質が保証されており、大学や就職先での高評価に繋がっています。

高専卒にふさわしい学力を有していると認められないと、卒業すらさせてもらえませんからね。

留年しないために、必死で勉強します!

文系科目が苦手な高専生

高専は技術者を養成する学校のため、数学や物理といった理系科目は重視されていますが、国語や社会といった文系科目は軽視されています

古典や歴史のことはさっぱりわかりません。

英語も苦手な学生が多いです。

とある高専生

塾のバイトを始めたのは良いけれど、中学数学は無双できるんだけど、中学英語で爆死してるわ!

文系科目の苦手意識がとにかく強いんです。

理系科目と違って文系科目は社会に出てから独学でも身につけられるものだから、自分の興味に応じて、必要に応じて勉強すればいいさ。

頭がいいと思っていない高専生たち

世間一般の人は

高専に通っているなんて頭いいんだね。

とはいいますが、本人たちは全く頭がいいなんて思っていません。

その理由は2つあり、

  • テスト勉強は暗記ゲー
  • 得意科目と不得意科目に差がありすぎる

からです。

2つのことについて、それぞれ解説します。

テスト勉強は暗記ゲー

本人たちが自分たちは頭が良いと思えないことの理由に、「テスト勉強は暗記ゲーでそれほど頭を使っていないから」というのがあります。

テスト勉強というものは、基本的に先輩たちから過去問をもらって、それを勉強します。先生にもよりますが、試験問題は過去問からほぼそのまま出ることもあります。

高専男子

テスト勉強は、成績上位の先輩から過去問をもらえるかどうかが勝負。
成績下位の先輩からもらっても、意味がない。

とある高専生

でも、ほぼ満点を取るような先輩からもらった過去問は、引っ掛かりポイントがどこにあるのかわからない欠点があるんだよね。

国語の問題も、数学の問題も、ほぼ過去問から出ます。

学生たちはその過去問を勉強……、というよりも暗記して臨みます

暗記しているだけで、勉強している感じがしないとは言いますが、

先生

たとえ暗記だったとしても、過去問を解いていくことで必要な知識は身についているもの。過去問を解くという最低限のことができれば、ちゃんと点数は取れますし、応用もできるようになっています。

塾に通うことができない高専生にとって、過去問を解くことが一番の勉強法

先輩から頂いた過去問すら解かずにテストに臨むと、単位を落としかねない状況になります。過去問はきちんとこなしましょう。過去問をもらっただけで、やった気になってはいけません。

過去問を解くことの意義

しかし考えてみれば、普通高校の定期テストだって、テスト範囲になっている教科書、参考書、問題集の問題がそのまま出題されていることが多いです。。

結局は、普通高校とやっている勉強方法は同じ

問題集が過去問になっているだけです。そして何よりも、

留年しないために、高専生は過去問を使って必死に勉強しています。

とある高専生

それでも留年するやつはする。

得意科目と不得意科目に差がありすぎる

高先生自身が頭はそれほど良いとは思っていない理由のもう一つに、得意科目と不得意科目に差がありすぎるということが挙げられます。

文系の人から見れば素晴らしい理系頭をお持ちの高専生たちですが、それは文系科目が超不得意であるということを意味しています。

文系科目があまりにも不得意すぎるので、自分では頭が良いと思っていません。

社会では、頭の善し悪しを文章で判断されることが多いと思いますが、高専生は基本的に文章を書くのが苦手です。

とある高専生の母

理系の文章なんて論理的に述べることさえできればよいので、形さえ覚えてしまえばなんとかなるものだよ。

理系学生にとってはバイブルのような存在の『理科系の作文技術』

まとめ

賢いやつもいればバカもいる。バカと言っても、いい意味でバカなのが高専生。

これを世間一般では専門バカという。

専門に特化したバカを思う存分できるのが、高専の良いところ。

専門分野だけをみれば確かに頭が良いように思えるけれど、国語や社会を含めた全体をみると……、頭が良いとは思っていないのが高専生。

頭の善し悪しは何も勉強だけで決まるものではありません。勉強だけではなく、寮生活等で鍛えた社会性は誇っていいと思います。

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この記事を書いた人

沼津高専機械工学科を卒業し、現在豊橋技科大4年生の娘をもつ母です。
娘は2年時:階長、卓球部部長→3年時:棟風紀、学習支援部長、卓球部部長、美化副委員長→4年時:寮生会長、美化委員長
私は教育後援会教育部会副部会長(2年時)→浜松支部副支部長(3年時)→浜松支部支部長(4・5年時)
と歴任しました

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