高専の寮生活の不安を解消|4つの悩みと「厳しい」の真相を解説

「高専の寮は厳しい」という噂を聞いて、次のような不安を感じたりしていませんか?

  • 時間に縛られた生活についていけるだろうか
  • 先輩後輩の関係は厳しいのだろうか
  • 家事ができなくても大丈夫だろうか
  • 仲の良い友達ができるのだろうか

結論から言えば、「厳しい」の正体は「規則正しい生活」と「共同生活のルール」です。理不尽な厳しさではありません。

厳しいという噂を聞いて不安に感じているのではなく、本当は寮生活というものがどういうものか分からないから、不安に感じているのではないでしょうか。

本記事では、寮生活に対する不安の正体を紐解き、寮生活の実態を紹介いたします。

本記事で分かること:

  • 4つの不安(生活リズム・人間関係・生活能力・ルール)の実態
  • それぞれの不安への具体的な対処法
  • 寮生活で得られるもの

漠然とした不安は、正体が分かれば軽くなります。一つずつ見ていきましょう。

目次

寮生活で感じる4つの不安

寮生活への不安は、大きく分けて4つに分類できます。それぞれの実態を知ることで、漠然とした不安を具体的な対策に変えていきましょう。

1. 生活リズムへの不安「時間に縛られる生活についていけるか」

寮生活が始まり、最初に「厳しい」と感じるのは、何事も時間厳守であることではないでしょうか。

実際のタイムスケジュール

高専によって時間や順番は多少前後しますが、沼津高専寮のスケジュールは次の通りです。

詳しくは『寮生活のしおり』が公式サイトで公開されていますので、詳細を知りたい方はそちらをご覧ください。他の高専についても同様に、公式サイトに公開されています。

  • 起床 6:55
  • 点呼 7:00
  • 清掃 7:00~7:30
  • 朝食 7:15~8:30
  • 登校 8:30
  • 昼食 12:00~13:00
  • 夕食 17:00~19:00
  • 入浴 17:00~19:50
  • 点呼 20:00
  • 自習 20:00~22:00
  • 点呼 22:00
  • 就寝 23:00

1日に2~3回の点呼があり、20:00の点呼が寮の門限になります。

部活動をしている場合、18:00頃に部活が終わった後、夕食とお風呂を済ませるまでが特に忙しいようです。

部活をしていない寮生は部活動をしている人と重ならないように気を使い、18:00前にはお風呂を済ませてしまいます。

最初は大変ですが、慣れます。

「時間に追われる生活なんて無理」と思うかもしれませんが、多くの寮生が最初の1~2か月で慣れます

理由は3つあります。

  1. 周りも同じ環境だから
    一人だけが頑張るのではなく、全員が同じリズムで生活するため、自然と流れに乗れます。
  2. 親に起こされていた子も自然と起きられる
    中学までは親に起こされて起きていた子でも、寮では不思議とちゃんと起きられるようになります。
  3. 強制自習時間で学習習慣が身につく
    強制自習時間(20:00~22:00)があるため、嫌でも学習習慣が身につきます(親にとってはありがたい制度です)。

慣れるとはいえ、生活習慣が体に馴染むまでの最初の1~2か月が大変なのは、どの子も口を揃えて言っていること
です。

それさえ乗り切ってしまえば、苦ではなくなります。

時間が守れそうにないときの対処法

とはいえ、時にはさまざまな理由で時間が守れそうにないときもあります。

レポートが終わらない時

就寝時刻(23:00)後、光が漏れることは寮則違反になります。

それでもレポートや課題が間に合わない時は、毛布をかぶって光が漏れないようにこっそりと作業しているという涙ぐましい努力をしている話をちょいちょい聞きます。

部活動の大会で門限に間に合わない時

部活動の大会で遅くなる時は顧問の先生が連絡してくれますが、顧問の先生が付いてこない大会の時は、保護者が連絡しなければならないケースもあります。

とある高専生

大会で8(時の)点(呼)には間に合いそうにないから、寮管に連絡しといて。市の代表できているから、顧問の先生はついてきていないんだよね。保護者から連絡しないといけないルールになっているから、よろしく。

こんな電話が突然かかってきて、よくわからないまま寮管に門限に間に合わない理由を説明する電話を書けたことが何度もあります。

最初は大変でも、「みんな同じ生活をしている」という環境が、自然とリズムを整えてくれます。

2. 人間関係への不安「先輩後輩関係・友人関係」

「先輩が怖い」「友達ができなかったらどうしよう」という不安は、寮生活への最大の心配事かもしれません。

先輩後輩の実態

今と昔の違い

一昔前は「1年生は奴隷で、5年生は神」などと言われていたこともあったとかなかったとか。しかし現在はそんなことはありません。

先輩も後輩も和気あいあいと楽しくやっています(ただし、寮により程度の差はあります)。

強豪私立体育会系と比べたら、月とスッポンほどの差があります。

指導寮生の立場

寮生会本部役員、棟三役(棟長、棟風紀、棟企)、階長といった役職に就いている寮生は指導寮生と呼ばれる立場になります。

指導寮生は一般寮生を指導する立場です。寮の秩序を乱すようなことがあれば、厳しく指導していかなければいけません。

指導寮生の性格や相手の違反具合にもよるのかもしれませんが、時にキツイ言い方になってしまうこともあるようです。

高専男子

それってパワハラじゃないの!

と言われることもありますが、パワハラの定義は次の3つがすべて満たされたものを言います:

  1. 優越的な関係を背景とした言動であり
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
  3. 寮生の生活環境が害されるもの

受け手がただ不快な思いをしただけではパワハラに該当しません。

とある高専生

不快な思いをしただけでパワハラ認定なんてされたら、注意や指導が何もできなくなって、寮がカオスになる!

指導寮生は自身が模範寮生でなくてはならないため、寮則違反を起こさないように、一般寮生たちよりも緊張した寮生活をしています。

「それって厳しすぎない?」と感じる場面もあるかもしれません。ですが、寮生活における指導の多くは、共同生活を維持するために必要な範囲で行われています。

挨拶文化

先輩はもちろんのこと、来訪者にはきちんと挨拶をするように指導されます。

先輩や来訪者に挨拶しても返ってこないことがあり、時にそれを愚痴ることもあります。

保護者

先輩に挨拶しても返事がないことは当たり前だと思え!社会に出たら、そのような理不尽なことなんて普通にある。いちいち腹なんて立てていられないから。
たとえ、返事がなかったとしても挨拶された方は気持ちは良いものだから、挨拶はきちんとやりなさい。

挨拶はいつか寮を出た時、あるいは社会に出た時、身につけておいた方が良い生活の基本です。社会に出るための予行練習だと思えば、気にならなくなります

友人はできるのか

中学生時代、周りに気の合う友人があまりいなかったオタク気質の子であれば、こんな不安があるのではないでしょうか。

心配ありません。

寮は友人ができやすい環境が整っています。

同じ環境で自然と仲良くなる

寮生活では、同じ時間に起き、同じ時間に食事をし、同じ時間に自習する。この共通体験が自然と仲間意識を育てます。

最初は不安でも、1~2か月もすればほとんどの子が寮での友人関係を築いています。

それに、普通高校ではなく高専を選んで入学してきた子たちです。価値観や趣味が似通っている友人が見つかりやすい環境でもあります。

棟の雰囲気が合わない場合

万が一、棟の雰囲気が合わない場合は、棟変更を申請することも可能です(ただし、高専によって対応は異なります)。

さまざまな役職を通じた交流

寮には様々な役職や当番があり、それらを通じて学年を超えた交流が生まれます。清掃当番、お風呂掃除、寮祭の準備など、共同作業の中で自然と人間関係が広がっていきます。

4. 生活能力への不安「家事ができない自分でも大丈夫か」

「家事の経験がない」「洗濯も料理もできない」という不安を抱えている人も多いでしょう。

大丈夫です。何もできなくても問題ありません。

寮では食事が提供され、洗濯機も完備されています。最初は誰もが未経験者です。分からなくても、先輩が優しく教えてくれます

むしろ、寮生活を通じて生活スキルが身につくと考えてください。

寮で身につく生活スキル

数百人という人間が寮という空間で円滑に集団生活をしていくために、さまざまな役職や当番があります。

最初は先輩たちに教えてもらいながら、少しずつスキルを身につけていきます。

掃除当番

朝の清掃時間(7:00~7:30)には、共用スペースの清掃を当番制で行います。

上級生がチェックして、できていなければやり直し。最初は大変ですが、これで掃除の基本が身につきます。

お風呂掃除

お風呂掃除も当番制です。使う人みんなで分担して綺麗に保ちます。

その他の当番制度

ごみ捨て、寮祭の準備など、みんなが生活する寮では実にさまざまな仕事があります。

寮祭の時は、準備から片づけまで、1年生は特に忙しく動きます。

とある高専生

道具がない時、床を素手でなでてホコリを取っていくのって……。中学時代の友人に話したら、びっくりされたんだけど。

1年生の役割

入ったばかりの1年生は、上級生たちの指示に従っていろいろなことをやらなければなりません。

下級生は下働きや肉体労働が多くて大変だと思うこともあるでしょう。これがなかなかきつくて大変だと感じる寮生もいます。

しかし、みんなが気持ちよく生活していくためには、寮生一人ひとりが責任を持って自分の役割を果たしていかなければなりません。

このような役割と経験が、生活能力と責任感を育てます。

保護者が感じる長期休暇のモヤモヤ

寮で生活スキルを身につけた子どもたちですが、長期休暇で帰宅すると……。

実家では何もしない、ということもよくあります

寮では当番制で強制的にやらされますが、実家では「やらなくても誰かがやってくれる」環境だからです。

ただし、これは一時的なもの。寮に戻れば、また自分でやるようになります。

4. 規則・ルールへの不安「寮則を守れるか」

「たくさんルールがあって覚えられない」「うっかり違反してしまったらどうしよう」という不安もあるでしょう。

寮則の実態

思ったより常識的な内容の寮則

寮則は特別に厳しいものではなく、集団生活を円滑にするための常識的なルールがほとんどです。

  • 点呼に遅れない
  • 就寝時刻を守る(23:00)
  • 門限を守る(20:00の点呼)
  • 共用スペースを綺麗に使う
  • 他の寮生に迷惑をかけない
時代に合わせて改定される

寮則は固定されたものではありません。時代に合わせて、また寮生たちの意見を取り入れて改定されることもあります。

とある高専生

私が寮長をやっていたときも、いくつか改定されたよ。

低学年に厳しく適用される理由

1年生や2年生には、上級生よりも厳しく寮則が適用される傾向があります。

これは理不尽ではなく、基本的な生活習慣を身につけるためです。上級生になるにつれて、自己管理ができるようになることが前提とされています。

違反したらどうなるか

寮則違反をすると、まずは指導寮生から注意や指導を受けます。

  • 軽微な違反:口頭注意
  • 繰り返しの違反:寮生会や寮務からの指導
  • 重大な違反:保護者への連絡、場合によっては退寮処分

ただし、いきなり厳しい処分になることはありません。まずは注意から始まります。

役職者の責任と役割

前述したように、寮生会本部役員、棟三役(棟長、棟風紀、棟企)、階長といった指導寮生は、一般寮生を指導する立場にあります。

寮の秩序を保つため、時には厳しく注意することもありますが、これは寮生全員が快適に生活するための役割です。

指導寮生自身も、模範となる行動を求められるため、一般寮生よりも緊張感のある寮生活を送っています。

とある高専生

コソコソとなにか良くないことをしていた寮生たちのそばを指導寮生が通ると、サァっと何かを隠したり退散したり…。指導寮生はコソコソと何かをしたくてもできません。

寮生会の活動

寮生会は寮生による自治組織です。寮祭などのイベント企画、寮則の見直し提案、寮生の意見を寮務に伝えるなど、重要な役割を担っています。

役職に就くことは、リーダーシップや組織運営のスキルを学ぶ機会にもなっています

不安の先にあるもの:寮生活で得られるメリット

ここまで不安について見てきましたが、寮生活には得られるメリットも多くあります。

規則正しい生活習慣

決まった時間に起き、食事をし、自習し、就寝する。この規則正しいリズムは、健康的な生活の基盤になります。

強制自習時間(20:00~22:00)があるため、嫌でも学習習慣が身につくので、親にとってはありがたい制度ですね。

自立心と生活能力

当番制度を通じて、掃除、洗濯、整理整頓など、生活に必要なスキルが自然と身につきます

家では何もしなかった子が、寮では自分のことは自分でやるようになります。これは大きな成長です。

人間関係スキル

学年を超えた交流、共同作業、役職を通じたリーダーシップ経験。寮生活は多様な人間関係を学ぶ場になっています。

  • 先輩との接し方
  • 後輩への指導の仕方
  • 同級生との協力
  • 集団生活でのコミュニケーション

これらは社会に出てからも役立つスキルです。

社会に出る準備

時間厳守、挨拶、ルールを守る、責任を果たす。寮生活で身につくこれらの習慣は、社会人の基礎そのものです。

「高専の寮生活は、社会に出るための予行練習」と考えれば、厳しさの意味も理解できるのではないでしょうか。

一般高校に通う子の保護者から「◯◯さんは流石だね。うちの子なんて、全然挨拶できなくて」とよく言われました。寮生活で培われた習慣が、自然と身についている証拠ですね。

保護者として見ていて感じるのは、「最初は心配でも、子どもは思っている以上に順応する」ということです。

まとめ:「厳しい」の本当の意味

「高専の寮は厳しい」という噂の正体は、規則正しい生活と共同生活のルールです。

理不尽な厳しさではなく、社会に出るための基礎を身につける場としての「厳しさ」です。

不安は事前情報で軽減できる

本記事で見てきたように、漠然とした不安の多くは、寮生活の実態を知ることで軽減できます。

  • 生活リズムは1~2か月で慣れる
  • 先輩後輩関係は昔ほど厳しくない
  • 生活スキルは何もできなくても大丈夫
  • 寮則は常識的な内容

住んでみなければわからない部分もある

とはいえ、寮の雰囲気や人間関係は、実際に住んでみなければわからない部分もあります。

各高専によって、また棟によって雰囲気は異なります。高専祭やオープンキャンパスでの学校見学の際に、可能であれば寮を見学し、先輩たちとお話してみることをおすすめします

各高専の寮則・情報の確認方法

各高専の公式サイトには「寮生活のしおり」や寮則が公開されています。

入学前に一度目を通しておくと、より具体的なイメージが持てるでしょう。

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この記事を書いた人

沼津高専機械工学科を卒業し、現在豊橋技科大大学院2年生の娘をもつ母です。
娘は2年時:階長、卓球部部長→3年時:棟風紀、学習支援部長、卓球部部長、美化副委員長→4年時:寮生会長、美化委員長
私は教育後援会教育部会副部会長(2年時)→浜松支部副支部長(3年時)→浜松支部支部長(4・5年時)
と歴任しました

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