親元を離れてのはじめての生活。
それも寮という集団生活。
俺さあ、寮生活うまくやっていける自信ないんだよなあ。
うちの子、変わっているから、新しい環境で孤立してしまわないか心配で心配で……。
と悩む声をよく聞きます。
私だって、全く心配なんてしていなかったなんて言ったら、嘘になります。
あまり顔に出してしまうと子どもも不安に感じてしまうので、内心は心配しつつも、できる限り表には出さないようにしていました(もしかしたら、娘は気づいていたかもしれませんが……)
しかし心配の9割以上は杞憂に終わるものでもあるので、それほど心配する必要はありません。
寮生活には子どもが成長するための多くのメリットがありますし、なにか問題が発生したときも、みんなで解決策を考えて対応しています。
本記事では、寮生活に馴染めるまでの流れや、馴染めなかった場合の対処法、そして寮生活のメリットについて解説します。
何事もやってみなければ分からないからね。とりあえず寮生活を経験してみると良いよ。最初は大変かもしれないけれど、寮は楽しいよ。
寮生活に馴染むまでの2週間
寮生活はね、楽しいんだけど、最初の2週間だけは地獄に感じるよ。
寮生活が始まってすぐは、ほとんどの新入生が「地獄」と感じると言います。
新しい環境に慣れるには、自分の生活リズムを寮に合わせる時間が必要だからで、どの子も寮生活のリズムに身体をなじませるのに苦労るすからです。
身体が寮生活のリズムに慣れてしまえば、天国?らしいです。
最初の2週間が辛い理由
なれない最初の2週間、何が大変なのかと聞かれたら、だいたい以下のようなことが返ってきます。
- 1日何回もある点呼
- 食事や入浴、消灯時間が決められている
- 朝は自分で起きなければならない
- 自分で洗濯や掃除もしなければならない
- 先輩に言われたことを一字一句漏らさずにメモを取る
- 出かける時は先輩に報告する
1日に何回も点呼があります。食事時間や入浴できる時間は決まっています。朝は自分で起きなければなりませんし、自分で洗濯をしなければなりません。
校則は緩くても、寮則は厳しいです。
いろいろと自分でやらなければならないことが増えます。すべて親がやっていた中学生時代とは違い、自分の責任でやらなければならないことが増えます。
寮で集団生活を送るために、寮の決まり事などは先輩たちが優しく教えてくれますが、何度も聞くわけにはいかないので、できるだけ1回で覚えてできるようにしなければなりません。
最初は先輩の説明を一字一句ノートに書いていくことを求められるよ。
この作業は大変かもしれませんが、ここで身についたスキルは後々何かと役に立ちます。
新入生をサポートする先輩たち
先輩たちは、新入生たちが一日も早く寮生活に慣れてくれるようにサポートします。
- 困っていた顔をしている新入生を見かけたら、声を掛ける
- 困ったことがあれば、相談に乗る
入寮したばかりの新入生を連れて、付近を案内するオリエンテーションがあります。
オリエンテーションで付近を案内したとはいえ、
最初の2週間は、コンビニに出かけるにもいちいち階長に報告しなくてはならず、思うように行動ができなくてイライラします。
階長をやってみて、なぜ最初の2週間、出かける時は近所でも報告しなければならないのか分かったよ。
というのも、慣れない場所に勝手に出ていかれて問題を起こされても困るので、行き先を伝えてほしいとのこと。
階長は新入生たちが安全・安心して寮生活を始められるように、責任を持って仕事をしています。
新入生も慣れない生活で大変かもしれませんが、新入生たちの面倒を見る先輩たちも、かなり気を使うらしく大変なのです。
鬱陶しいと感じるて負担に感じてしまうかもしれませんが、これも先輩たちが後輩たちが一日でも早く寮生活に慣れてくれるために行っていることです。
趣味や価値観の合う友人が見つかりやすい高専寮
高専では、技術や科学が好きな子どもたちが集まります。
そのため、似たような趣味・価値観を持つ友人を見つけやすい環境ともいえます。
学力が違いすぎたり趣味が違いすぎたりすると、話なんてあわなくて当たり前。
中学時代は周囲の子たちと話が合わなかっただけでコミュニケーション能力が低いと思われていたのに、高専寮で同じ趣味の友人がたくさん見つかり、毎日楽しくおしゃべり。コミュニケーション能力が低いだなんて、全くそんなことは
普通高校だったらなかなかできないようなマニアックなことでも、ここでは同じ趣味仲間を見つけて、楽しく会話できます。
寮には同じゲーム仲間がいて楽しいよ。ハマりすぎて勉強が疎かになって、単位を落としてしまうことがないように気をつけないといけないけどね。
寮が合わなかった時の対処法
寮生活になれ、気の合う友人ができれば寮生活が楽しくなります。
しかしそれでも、寮生活が合わないという人は毎年少なからず存在します。
相談先を活用しよう
寮の揉め事は、寮生同士の話し合いで解決策を考えるのが基本。
- 寮の役職者(階長、棟長など):寮生を取りまとめている上級生リーダーに相談してみましょう。親身になって相談に乗ってくれます。
- 寮無主事の先生:問題によっては、寮全体を管理している先生に相談してみましょう。
- 保護者:やはり子どもが一番安心できる相談相手は親かもしれません。
時には先生や保護者も巻き込んで、話し合いながら解決策の妥協点を探っていくよ。
寮生会が動いて、先生が動いて、保護者も動いて。
部屋を移動してもらって解決することもありますし、寮生会と先生が話し合って妥協点を探ることもあります。
寮生会と先生の間の話し合いが平行線でなかなか進まない時は、保護者も巻き込んでください。親が乗り出すことで双方が納得し、事が進むこともあります。
双方の言い分を聞いて、深く首を突っ込まないようにかなり気を使いました。三方納得することができたので、良しとします。
退寮という選択肢
寮は必ずしも入らなければならないものではありません。
沼津高専では、かつては新入生全員が入寮していましたが、今は新入生でも自宅通学も認められています。
週末もずっと寮にいなければならないということはなく、外泊届を出して週末は自宅に帰るという学生は多くいます(親が心配して毎週帰らせているという事例もあります)。
一旦は寮に入っても、合わなければ退寮することができます。
自宅通学
自宅が近いのであれば、退寮して自宅通学に切り替えてしまうのが一番の方法でしょう。
寮が合わなくて退寮して新幹線通学したり、在来線で2時間半かけて通学したりしているなんていう学生は存在します。
私は家が遠くて、だからといって親が一人暮らしを認めてくれなかったから、新幹線通学してるの。
浜松からでも始発の新幹線に乗れば、1時限目の授業には間に合います。
親は朝早くから弁当作りをしなければならなくなるので大変ですし、新幹線通学なんてお金の面からも大変になりますが…。
アパートで一人暮らし
沼津高専では、低学年(1、2年生)は寮または自宅通学しか認められていませんが、3年生になれば下宿生活(一人暮らし)が認められます。
僕は寮生活に馴染めなくて、だからといって家も遠くて自宅通学なんて無理だから、2年間をなんとか耐えて、3年生になったらすぐに近くにアパートを借りて寮を出たよ。
寮生活のメリット
高専により、1年生は全員寮に入らなければならないというところもあれば、寮に入る必要がないところもあります。そこは志望する高専に確認しましょう。
寮に入る必要がなくても、とりあえず寮に入ることをお勧めします。
高専寮は教育寮という位置づけです。
寮生活から学ぶことは多いです。
高専で学べることは、専門の勉強だけではありません。下記のようなメリットが挙げられますが、他にも色々たくさんあります。
- 勉強を助け合える:過去問の共有や、友人同士で教え合いができる
- コニュニケーション能力が鍛えられる:集団生活を通じて自然と対人スキルが向上する
勉強のサポートが受けられる
先輩たちから過去問をもらえたり、苦手な科目を友人同士で教え合ったりすることがあります。
こうした助け合いは、寮生活ならではの魅力。
コミュニケーション能力が鍛えられる
寮生活では多くの人と関わるため、自然とコミュニケーション能力が鍛えられます。
また、上述したように、趣味や価値観の合う友人が見つけやすく、親しい友人ができればそれだけコミュニケーション能力が鍛えられます。
コミュニケーション能力は、社会に出るうえで重要なスキルです。
最後に:無理せず自分のペースで
最初の2週間を乗り越えれば、寮生活は楽しいものになる可能性が高いです。
寮は気の合う友だちがいつもいるし、勉強が分からなければ教え合ったりできるけど、家に帰っちゃうと近くに友人がいないから遊べないし、つまんない。
家に帰ってきた時は寮の愚痴ばかり言っているけど、話しているその顔はニコニコと楽しそう。
もちろん楽しいときもあれば苦しいときもあるとは思います。
苦楽両方を楽しんでいる感じが子どもの表情から伝わってきているのなら、きっと大丈夫。
寮生活に馴染めても馴染めなくてたとえ途中で退寮していったとしても、一緒に寝食をともにした寮の仲間たち、先輩後輩の関係、人間関係にまつわるいろいろな理不尽なこと。
それらは一生の宝ものになります、たぶん。
もう卒業して何年も経つけど、高専での寮生活はいい思い出。理不尽に思いながらも寮生活で身につけたスキルは、社会人になった今、大いに役立っているよ。
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