高専の推薦入試では面接が行われます。
各高専の募集要項を確認すると、面接の配点が大きくなっていることが分かります。
生まれて初めての面接試験。緊張しちゃうし、どんなことを聞かれるのか不安で仕方ない!できれば何を聞かれてもいいように準備しておけば、安心して面接に臨めるかも!
そう思うのは無理もありません。
自分で情報を集め、しっかり対策をしていくことが合格への鍵です。
面接で聞かれることは、主に以下の3つ。
- 学校が持っている受験生の情報から(中学校からの推薦書・調査書)
- 志望動機
- 科学技術に対する興味関心
これらのことに答えられるようにしておくことが肝要です。
①や②は普通高校の面接でも聞かれるようなことですが、③については高専特有の内容と言ってもいいでしょう。
本記事では、娘が実際に行った面接対策と実際に面接で聞かれたことを紹介します。
親の私も面接対策に巻き込まれました。
推薦入試前日と当日の様子については、下記を参照してください。
高専推薦入試の面接で聞かれること
基本的に高校入試の面接対策と大きな差はありません。なんでも良いので高校入試の面接対策本を1冊は読んでおくと良いでしょう。
高専だったら、この場合はどんな質問になるのかなぁ?
といろいろ考えながら、一通り目を通しておきます。
基本的に、上記で紹介した以下の3つに関する対策をします。
- 学校が持っている受験生の情報から(中学校からの推薦書・調査書)
- 志望動機
- 科学技術に対する興味関心
1.面接官が見る資料と質問の例
沼津高専の場合、推薦入試の願書提出の際にエントリーシートを書いて提出します。
面接官が持っている受験生の情報は、中学校から送られてきた調査書(内申書)と推薦書、本人が記述したエントリーシートのみです。
基本的に、ほぼこれに沿って面接は行われます。
たとえエントリーシートの提出のない高専だとしても、調査書と推薦書に基づく面接で問われることはほぼ同じと考えられますので、同様に対策してください。
エントリーシートには何を書けばいいの?
沼津高専の推薦入試の場合、生徒側はエントリーシートを書いて願書と一緒に提出します。
エントリーシートは以下のものをそれぞれA4用紙1枚(原稿用紙形式:募集要項から切離し)にまとめて提出します。
- 中学時代に成長を感じたこと
- どんな技術者になりたいか
文章が苦手でも、とりあえず自分の言葉で書きます。
そしてその文章を元に、中学の国語の先生が(内容はそのまま原型を留めないほどに)真っ赤に添削してくれたので、それを願書に清書して提出しました。
中学の3年間で頑張ったことなどを、棚卸しをしておきましょう。面接で自信をもって答えられることは何かを考え、それを素直に書きます。
エントリーシートに書くことは、面接で聞かれても困らない内容にしておくのがポイント。
下手に背伸びをしたことを書いてしまうと、面接でつっこまれてしどろもどろになってしまい、面接官に悪い印象を与えてしまいます。
部活動や生徒会活動ネタ
部活動や生徒会活動は鉄板ネタ。
実績があるのなら、それを素直に書きましょう。
そして、その活動を通して自分が成長を感じたこと(←これが一番重要)を書きます。
リーダーシップがとれる学生を高専は欲しがっていますので、リーダー経験があるのならその経験を強調します。
部活動の実績は内申書に書かれているので、わざわざ書く必要はありません。
卓球部の部長をしていた娘は、大会成績(団体戦東海大会出場)よりも部長としての経験のほうが重要視されると考え、部をまとめる上で気づいた大事なこと、大切にしていたことを書いていました。
みんなの意見を聞いて、一人ひとりに役割を持たせて、部長は大変だったけれど自分も成長できた!
ネタがない時
リーダー経験や何らかの賞をとったことのある子はネタに困らないのでしょうが、そのような経験がない場合は書くネタに困ってしまいます。
そんな時は、
- リーダーが仕事をしやすいように、フォロワーとして何をしたか
- 賞をとるまでには至らなかったけど、夢中になった何か
に焦点を当てて書いてみてはいかがでしょうか?
良いチームというものには良いリーダーだけではなく、リーダーを支える良きフォロワーがいます。良きフォロワーとしてアピールするというのも、一つの方法です。
チーム一丸となって取り組むとき、長を支えるために自分に与えられた役割を果たしたよ。一人ひとりの力とみんなの協力が大切なんだなって、気づいた。
何かに夢中になり、その何かを成し遂げるために努力したことや学んだことというものは、自分の成長の糧になっているはず。
必ずしも結果を伴っている必要はありません。夢中になった何かにはきっと、
- 情熱力
- 継続力
- 調査力
- 知識力
などといったものが磨かれているに違いありませんから、成長に繋がっていないわけがありません。
内申書対策
中学校から提出される内申書は、受験生側でコントロールできません。
しかし何か役職をやったり、賞をとったりした情報は記入されているので、予想はできるでしょう。
上述のエントリーシートと合わせて、それによって自分が何を感じ、どう成長したかを説明できるようにしておきます。
2.志望動機はどう答えれば良いのか
志望動機は、普通高校の受験でも聞かれる質問です。高専は普通高校以上に志望動機が重要になってきます。工学に興味がないのに高専に入学なんてしたら、後できっと後悔します。
- 父がエンジニアで、そんな父に憧れて……
- ロボットアニメを見て、いつかはそんなロボットを自分で造ってみたいと思って……
- TVでロボコンを見て、自分も出たいと思っ……
- TVで○○という技術を知り、そんな最先端で活躍する技術者を夢見て……
などなど、中学生が考える志望動機なら、この程度でいいでしょう。
志望動機って、なんとなくじゃだめだよね。
うちはお父さんが機械エンジニアだから、お父さんを出してみたら?お父さんの影響で機械に興味を持つようになったっていうの、全然ありだと思うよ。嘘じゃないし。
高専を志望するきっかけとなった志望動機をしっかり深堀りし、答えられるようにしておきます。
「なんとなく」高専に決めたと思いこんでいても、その「なんとなく」にもきっと理由があるはず。「なんとなく」の正体はなにかをまず考えます。
志望動機が明確になればなるほど、「なぜ高専なのか、なぜこの学科を選んだのか」、その理由もはっきりと見えてきます。
あなただけの志望動機の姿を捉えてください。
3.技術と技術者に関すること
高専特有といえば、技術に関することを聞かれる可能性があります。
- どんな技術者になりたいですか
- どんな技術に興味がありますか
中学3年生の段階で考えることは酷かもしれません。
具体的なものではなくても構わないと思います。高専で勉強することによって、実現できるかもしれない夢を語れれば良いのではないでしょうか。
これに対して我が家が行った対策は、
直近数ヶ月で構わないので、新聞(日本経済新聞・日刊工業新聞)の技術面で気になる記事をスクラップしておき、数週間前に軽く深堀りしておくこと。
今興味を持っている技術ニュースはありますか?そのニュースをどこで知りましたか?
と、実際に気になる技術ニュースについて聞かれました。同じ学科の先輩も聞かれたそうなので、技術ニュースは確認しておきます。
新聞をチェックしていてよかった。
多少は深堀りしますが、中学生の頭で考えて答えられる範囲に留めておきます。
答えられなかったら、
○○ついてはまだよく理解できないので、高専に入って勉強します
と胸を張って答えられたら、中学生としては十分です。
技術に関して、わからないことを無理に答える必要はありません。かえって突っ込まれて答えられなくなってしまい、墓穴を掘ってしまいます。
面接対策の具体的方法
面接で自分の考えをしっかり伝えるためには、事前準備が不可欠。
高専に対する思いを言語化し、面接で応えられるようにするために、実際に娘が行っていた対策は、以下の2点です。
- 想定問答集の作成
- 中学校での面接練習
想定問答集を作る3つのステップ
中学校から推薦してもらえると分かった中学3年の冬休み、ただひたすら想定問答集を作成していました。
志望動機を中心にどんなことを聞かれそうなのか樹形図を書いて、想定問答集を作ると良いよ。これが一番の対策になったから。
樹形図というか、マインドマップのようなものかな(いつの間にそんなことを覚えたのかと、母は驚いています)。
ルーズリーフを使用していましたが、ノート1冊分以上の厚みになっていました。
想定問答集の作成は面倒くさいと感じるかもしれません。
実際にどんなを聞かれたのか、推薦合格した現役高専生から聞き出し、それに対する答えを考えるほうが、きっと楽でしょう。
一見すると、面倒くさくて回り道に見えるこの方法が、実は一番の近道です。頑張りましょう。
想定問答週の作成手順
志望動機や部活動、科学技術に関する興味など、想定される質問をトピックにして書き出します。
各トピックに対し応えた内容から質問されそうなことをさらに書き込んでいきます。思いつく限り書き込んでいきます。
- なぜ高専なのか
- なぜその学科に興味があるのか
- 高専に入って何をしたいのか
- 高専卒業後は何をしたいのか
- 学んだ技術で何をしたいのか
- 学んだ技術で社会にどう貢献したいのか
- どんな技術者になりたいのか
- 中学校で頑張ったことはなにか
- 部活動で頑張ったこと
- 表彰されたこと
部活動での役割や生徒会活動など、面接のねたになりそうな経験やエピソードがあれば書き込んでおきます。
このような作業を繰り返すことで頭の中は整理され、自分の価値観と自分軸がはっきりし、想定外の質問に対しても自分の軸に照らしあわせて答えられるようになります。
とはいえ、学んだ技術でどのようなものを作りたいのかに関しては、ひねり出すのに苦労しました。
中学生の頭では、世の中にどのような機械があるのかなんて知りません。
車、電車、飛行機、ミシン、食品加工機械、えっと…、工作機械、農作業用の機械、建機に……。なんかピンとくるものあった?
私が思いつく限りの機械を口に出していき、ピンときたものに関して「なぜ?」を追求して、なんとか作成しました。
高専のアドミッション・ポリシー
受験する高専のアドミッション・ポリシーは覚えておきました。あまり面接試験には関係なかったようですが、念のため覚えておいたほうが良いようです。
進学説明会では、覚えてくるように何度も強く求められました。
高専はアドミッション・ポリシーに合う適合する学生に来てほしいですからね。
面接練習
入試前に中学校では面接練習をしてくれます(ただし、中学校によっては普通高校とは日程の違う高専受験生向けの面接対策を行ってくれない可能性もあります)。
中学の面接練習は(質問内容としては)、全然役に立たなかったらしいです。
中学の先生が聞いてきた質問は、高専の面接で聞かれることはなかったとのこと。
同じ科の推薦で入った先輩も、中学校での面接練習は役に立たなかったって言ってたよ。
とはいうものの、場の練習にはなったのではないかと、親としては思っています。
高専塾の面接練習
娘の時代にはまだありませんでしたが、今は高専受験および高専生に特化したオンライン形式の高専塾が存在します。
高専塾「ナレッジスター」の「推薦入試対策コース」では、高専入試の面接対策を行っています。
沼津高専や豊田高専にはありませんが、和歌山高専や大阪高専などは推薦入試に小論文を課しています。
高専入試に特化した面接練習や小論文の練習を望むのであれば、高専塾のサービスを利用するのも一つの方法です。
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高専特化塾なら、効率的に、質の高い面接練習を行うことで、本番の面接では自身を持って落ち着いて望めるのではないでしょうか。
実際の面接(娘の場合)
上述したとおり、部活動の成績(団体戦県大会ベスト4で東海大会出場)が良かった上に部長をしていたこともあり、部長経験を強調したエントリーシートを作成していました。
そのせいか、3分の1ぐらい部活動の話をしていたそうです。
競技のことだけではなく、部をまとめる上で苦労したこととか、成長を感じたこととか。もちろん、高専でもその競技を続けるのかどうかも聞かれたそうです。
工場見学に行ったことはありますか?
という質問に対しては、うなぎパイ工場に行ったときのことを思い出して答えたとか。
「中学の社会科見学で行った自動車工場の方が良かったかも……」なんて言っていましたが、エントリーシートに「食品加工機械に興味ある」ようなことを書いていたのだから、うなパイ工場のほうで合っていたんじゃないかな?
学んだ技術で、社会にどう貢献したいか、どのようなものを作りたいのかといったことも聞かれたようです。
質問内容は、ほぼ想定の範囲内だったし、それしか聞かれなかったよ。
質問はどれも、想定問答集で考え尽くした範囲内に収まっていたようです。
最後に:面接対策を万全にして高専合格を目指そう
面接で聞かれることは、倍率と、面接官になった先生に大きく左右されます。倍率が高いと考えさせる内容を聞かれたり、ひねくれた質問をしたりする先生もいます。
倍率が低ければ、志望動機や中学で頑張ったことなど、基本的なことしか聞かれません。倍率が高いと、落とすためにやや突っ込んだ技術の話をされる……、なんて聞いたことがあります。
核戦争が起きたら、核兵器のスイッチを押せますか?
ときには、正解のない質問が飛んでくることもあるでしょう。
答えに窮する質問が来ても、パニックにならずに落ち着いて、自分の言葉で自分の想いを伝え、わからないことは素直に「わからないのでこれから勉強します」と答えましょう。
親ができることは、面接の練習相手になることと、本番で子供が緊張しすぎないように寄り添い、送り出すことぐらい。
我が家はホテルに前泊しました。緊張しすぎて夜眠れない娘に付き合っての面接練習。試験翌日の仕事は眠くて眠くて仕事になりませんでしたが、今ではいい思い出になっています。
高専推薦入試の面接では、準備が合否を大きく左右します。マインドマップを活用して質問内容を整理し、家庭での模擬面接やナレッジスターのサポートを活用することで、確実な準備ができます。
推薦面接は緊張する場ですが、しっかり対策をすれば自信を持って本番に臨むことができます。頑張ってください!
コメント
コメント一覧 (2件)
エントリーシートについての質問です。
段落(改行)って作りましたか?
普通の原稿用紙に書くのと同じように,段落は作っていました。