高専と聴いて、皆さんはどんなイメージを抱きますか?

娘が「高専に行きたい」と言い出すまで、高専のことは何も知らなかったんです。
「高専」という学校の存在は知っていましたが、その内容については全く知りませんでした。
当時の私が抱いていたイメージは、
- 男子が多い工学系の学校
- ロボコン
- トップ校へ行くような頭のいい子が行く
- マイナーでよく知られていない
- 5年制の学校
- 短大卒扱い
- オタク率が高そう
今振り返ると、これでも高専についてよく知っていたほうかもしれません。
学校の雰囲気は「大学の工学部に近い」という漠然としたイメージを抱いていました。
実際の高専は、これらのイメージに当てはまる部分もあれば、全く異なっている部分もありました。
本記事では、一般の人が抱いている高専に対するイメージと実態を比較しながら、高専についてより詳しく紹介します。
高専のイメージと実態の比較


娘が高専入学前に抱いていた高専のイメージと、実際に高専に入学してから知った実態を紹介します。
高専の実態は、あなたのイメージ通りでしょうか?
男子ばかりで女子は少ないの?



女子が少なくて高校生活を楽しめないって聞いたけど、実際どうなの?
高専全体では、女子の割合は約2割です。
これは工業系高校(約10%)や大学工学部(約15%)に比べると、かなり高い数字ではないでしょうか?
また、学科により男女比に大きな差があり、土建系は約3割、生物・化学系で約4割、デザイン系や経営系の学科は女子が7割を占めています。
高専といえばロボコン?



ロボコンって、学校をあげて挑む全国的一大イベントじゃないの?
ロボコンは、部活動の大会の一つです。
とはいえ、NHKで放送されるため知名度が抜群に高く、学生インタビューや試作段階からTVに映ることもあり、「高専=ロボコン」という印象が強いのではないでしょうか。


地域トップ校へ行くような成績優秀な子が行く



高専に行っているだなんて、君、頭いいんだね。なんで地域トップ校に行かなかったの?
特に年配の男性からはこのようなイメージで見られることが多く、引かれるレベルで驚かれます。
昔は大学進学が一般的でなかったため、短期間で大卒並みの知識を得られる高専は重宝され、トップ校より偏差値が高い時代もありました。
大学進学が一般的になってくると同時に、高専よりも大学進学に特化した進学校が選ばれるようになりました。
今でも地域トップ進学校と同レベルの高専もあれば、少し下に位置する高専もあります。
だからといって学力だけで高専の価値は測れませんし、実践的な技術を学びたい学生が集まるのが高専です。


マイナーな学校?
高専は全国に51校しかなく、地域によっては知名度が低いことも事実です。しかし、多くの大企業や研究機関で高専卒の技術者が活躍しており、知る人ぞ知る存在です。
娘が中学時代、高専を受験することを友人たちに話していたときのこと。



成績上位層はみんな高専を知ってるけど、下位層になると「高専?なにそれ?」って反応されること多いよ。
部活動の大会で入賞して表彰されたときも、



沼津高等工業専門学校
と言われて思わずずっこけました。
5年制の学校
5年制の学校だということを私は知っていましたが、なぜかよく



高専って、4年行くんだっけ?
とよく聞かれました。
『呪術廻戦』に登場する東京都立呪術高等専門学校の影響もあり、4年制と誤解されがちです。





高専が4年制と勘違いされることが増えたのは、絶対『呪術高専』の影響だと思う。
オタク率が高そう



高専生はオタク気質で、服装のセンスがなさそう。
確かに、趣味に没頭する学生が多いのは事実で、オタク率は普通高校より多いと思います。
しかしその一方で、金髪やピアスなどのおしゃれを楽しむ学生も多く存在します。ファッションセンスに関しては、本人次第です。


入学前は知らなかったこと


高専についていろいろと調べてみて、また入学してはじめて分かったことも多くありました。
- 専攻科の存在(修了すれば学士を取得可能)
- 長期休暇中は閉寮し、荷物をすべて出す必要がある
- 先生方は博士号を持ち、大学と同じ職位(教授・准教授・助教)
- 高専出身の先生が多く、自らの体験談を話してくれる
- 親子や兄弟で高専出身という家庭が意外と多い
- 金髪やピアスは普通にいる



私は高専に留年があるなんてことを、子どもが入学するまで知らなかったよ。高校と同じように、みんな進学できるものだと思っていた!
専攻科が存在していること



専攻科の存在は、マジで知りませんでした。
高専本科を卒業した後、専攻科に進学して卒業すれば、大卒と同じ学士を取得でき、大学院進学も可能です。



専攻科を卒業して就職する場合、一般の大学生と同じような就職活動をするのだけれど、相手が知らないことも多く、ほぼ毎回説明するのがちょっと面倒くさい。
長期休暇中の閉寮
夏休みや冬休みと行った長期休暇のたびに、荷物を全部運び出す必要があり、ちょっとした引っ越し作業ですになります。


高専の先生方は博士号持ち
高専の先生方は、大学と同じように博士号を持ち、大学と同じように教授、准教授、助教です。
そして、高専間だけでなく国立大学の間とも人事異動があり、研究者としての質も高いです。
現沼津高専の校長は、東工大から異動してきた先生です。
高専出身の先生方
先生方は、高専を卒業した後大学に進学し、博士号まで取得した方が多いです。だから、高専のことも大学のこともよく知っています。



私が高専生だった頃はね……。
なんて、先生が高専生だった時代の思い出話を話してくれることがあります。
親兄弟も高専出身が多い



上の子が高専に進学してみたら、高専がすごくいい学校だと分かったから下の子たちも高専に進学したよ。
入学前は高専のことをほとんど知らなくて不安だったとしても、一人が進学すると下の兄弟たちも続くケースが多いです。
親が高専出身者なら、なおさら高専の良いところも悪いところも知っているので、自分の子どもに高専をすすめるのでしょう。
金髪やピアスは普通にいる
制服のある高専もありますが、沼津高専や豊田高専は制服がありません、。
制服の有無にかかわらず、髪色やピアスは校則違反ではないので、金髪やピアスをしている学生たちは多くいます。



キミたち~。ぜひサッカー部のマネージャーに!
入学説明会でサッカー部が練習をしている横を通る時、マネージャーに勧誘してきた男の子は、見事な金髪でした。
高専大会を見に行くと、ピアスを付けた男子学生や色とりどりに髪を染めた学生を目にするので、ファッションだけでも普通高校の大会とはまた違った雰囲気を楽しめます。
知っておいたほうが良い高専の実態


知らなくても問題ありませんが、やはり入学前に知っていたほうが、親としても心の準備ができます。
- 進学と就職
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高専は就職率の高さが有名ですが、大学3年次編入や専攻科進学も選べます。
進学実績が強い高専もあり、本人の希望次第で幅広い選択肢があります(ただし、工学部に限る)。
- 学費と生活費
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「国立だから安い」というのは事実。ただし寮費や食費、下宿の場合の生活費がかかる点は要注意です。
とある高専生の母学校までの距離。自宅通学か寮か、それとも下宿にするかで大きく変わります。
- 学習の難易度
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入学が目的ではありません。入ってからが本番です。
数学や理科などの理系科目の授業スピードは一般高校より早く、数学や物理をしっかり理解していないと、専門科目についていけなくなってしまいます。
あわせて読みたい【高専数学の実態】高校より難しいって本当?つまずいたときの対処法とは 高専で学ぶ数学って、普通高校よりずっと難しいって聞くけど…、うちの子、本当についていけるのかしら? このように、高専入学を控えている、あるいはすでに高専で学ん… - 国際性
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学校によっては海外研修や留学制度があるだけでなく、留学生も比較的多いため、グローバルな環境で学べる機会があります。
最後に
みなさんが高専に抱くイメージはどのようなものでしょうか?
入学前に抱く「高専のイメージ」は人それぞれ。
合っている部分もあれば、入学してはじめて知ることも多くありました。
大切なのは、イメージだけにとらわれず、実態をある程度理解したうえで進路を選ぶこと。
高専は決して万人向けではありませんが、合う子にとってはかけがえのない学びと成長の場になります。


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